アクティブ・レンジャー日記
ツシマヤマネコの野生復帰までの道のり
2022年04月26日こんにちは!対馬自然保護官事務所の清家です。
今回は、対馬野生生物保護センター(以下、センター)に保護されたツシマヤマネコ(以下、ヤマネコ)がどのようにして野生に帰っていくのかを、先日野生復帰したヤマネコの「シマト」を例にご紹介させていただきます!
今回の主役であるシマトは、地元の方からの「ヤマネコがシカのわなにかかっている」との通報から保護することができたヤマネコになります。センターに収容後、検査を行い、くくりわなによって負傷したと考えられる外傷が左前肢にあったことから、シマトのセンターでの治療がスタートしました。
シマトを治療している様子 ケガの様子
ケガをしたヤマネコは外傷などが治るまでは入院室という部屋で飼育されます。シマトも入院室で、傷の治り具合などを観察・治療しながら飼育されました。飼育員の方曰く「シマトは、自分の体をすぐ自らよごしてしまい、大変な子だった」とのこと。
入院室で飼育していた時のシマト
約2ヶ月半後、シマトの傷の治療は終わり、野生に帰すことができるようになりました。そしてついにシマトは野生に帰りました!
とはいかず、ここからシマトは野生復帰ケージという場所で野生復帰への最終確認を行います。
ここでは、ケガなどの影響がヤマネコにないか、捕食能力がしっかりあるかを確認します。ここでの確認を怠ってしまうと、まだ野生に帰れるほどケガや運動能力が回復していないヤマネコを野生復帰させることになり、逆に命の危険にさらしてしまう恐れがあります。この工程は、保護したヤマネコを野生に帰すための大切な工程になります!
シマトはこの訓練で生きたアカネズミを見事に捕食し、歩様などにも異常がみられなかったことから、野生下でも問題無く生活出来ると判断されました。
野生復帰ケージ 丸印のネズミに忍び寄るシマト
このあと見事に捕食しました
そして4月15日。ついにシマトの野生復帰の日がやってきました!
シマトはキャリーから出ていくと、一目散に山へ走っていきました。
キャリーからでてくるシマト 駆け抜けていくシマト
※体の白い部分は治療の為に毛を剃った部分になり、ヤマネコの健康に影響はありません
交通事故や錯誤捕獲でケガをしたヤマネコは、無事保護することができればシマトの様に治療~野生復帰までを行うことができます。
万が一、対馬でケガをしたヤマネコを見かけた際はすぐに対馬野生生物保護センター(0920-84-5577)までご連絡をお願いいたします。1頭でも多く、シマトのように元気に自然へ帰れるヤマネコを増やすためにも、皆様、ご協力のほどをお願いします!
☆シマトの放獣の様子がセンターのインスタグラムでもアップされています!☆
以下のリンクから投稿へとぶことが出来ます。こちらも確認してみて下さい。
<https://www.instagram.com/reel/CchRJNdgKiD/?igshid=YmMyMTA2M2Y=>
※外部のサイトへとびますのでご注意下さい。