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九州地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記

海を歩くゾウ【雲仙天草国立公園・天草地区】

2022年03月22日
雲仙天草国立公園 森俊夫

 文化財とは、長い歴史の中で生まれ育ち、先人たちから私たちに受け継がれてきた貴重な国民的財産であり、私たちはこれを守り、未来へと引き継いでいかなければなりません。

 このため国は、文化財保護法を制定するなどして、国宝、重要文化財、史跡、名勝、天然記念物等として指定、選定、登録することで、文化財の保護・保存を図っています。

 文化財として指定されている自然景観は、史跡(古墳、その他の遺跡で、歴史上又は学術上価値の高いもののうち重要なもの)、名勝(海浜,山岳その他名勝地で、芸術上又は観賞上価値の高いもののうち重要なもの)、天然記念物(動植物、地質鉱物で、学術上価値の高いもののうち重要なもの)のいずれかに分類され、天草西海岸の妙見岩を含む妙見浦一帯は、昭和10年に名勝と天然記念物に重複して指定されています。

 この妙見岩は、少し離れた十三仏崎あたりから眺めるとゾウのように見えるため、地元では「ゾウさん岩」と呼ばれて親しまれ、雲仙天草国立公園天草地区の象徴的な眺望として紹介されることも多いです。そのため、天草といえば妙見岩を連想される方も少なくないと思います。

十三仏崎の妙見岩見学地から妙見岩を撮影したもので、妙見岩が、洞穴や岩の影の具合で、頭を左側に向けて、右から左に歩いているように見える写真

 この写真は、妙見浦から少し離れた南西側にある十三仏崎妙見岩見学地からゾウさん岩を眺めたものです。

 ゾウさん岩のすぐ近くには妙見浦展望所もあるのですが、そこから見えるのはゾウさんのお尻なので、目の前の小島がゾウさん岩だと気が付かなかった方も多かったのではないかと思います。

 この展望所とゾウさん岩の間は送電線が眺望を遮っていたのですが、九州電力送配電株式会社天草送配電事業所様のご協力で送電線が移設され、ここからの眺望を心おきなく楽しめるようになっています。天草へお越しの際には、妙見浦展望所へもお立ち寄りいただき、ゾウさんのお尻を間近からご堪能ください。

(送電線移設前の状況)

妙見浦展望所から、横長長方形の縦横3つずつの九分割の中央部分に妙見岩を捉えた構図で、全体を横断するように3本の太い青色の電線が写っている写真(送電線移設後の状況)

前の写真と同じ場所からの同じ構図で、3本の太い青色の電線が写っていない(電線が移設されて視界を遮るものが消えている)写真

 さらに、妙見浦展望所の脇には妙見浦の海岸へ至る市道(車道)があり、海岸横には駐車場も整備されており、そこから妙見岩に歩いて渡ることもできます。

 潮位が低いときには、ゾウさん岩の北東側(ゾウさんのお尻を正面に見たときの右側)にまわり込むことができます。

 まわり込んだ先では、ちょうど十三仏崎から見たときの反対側からゾウさん岩を見る形になるのですが、なんと、ゾウさん岩は反対側から見てもゾウさんに見えるんです。

折り重なる岩の隙間から妙見岩を撮影した写真で、上下左右の手前の岩がフレームのように、中央の妙見岩が、頭を左側に向けて、座っているように見える写真 その先には、洞穴岩もありますので、潮位のタイミングが合えば、是非ご覧ください。

左上奥に妙見岩のゾウの頭の部分が写り込んだ、右下に洞穴がある大きな岩を写した写真で、洞穴の中の海面が光っている。

 潮位が高く、ゾウさん岩の北東側にまわり込めない場合には、笠松公園から裏ゾウさん岩を眺めることができます。

 少し遠くなりますが、近くで見るよりもゾウさんっぽく見えますよ。

高台の笠松公園から妙見岩を見下ろすように撮影したもので、妙見岩のシルエットが、頭を右側に向けて、座っているゾウのように見える写真

(笠松公園へのアクセス)

妙見浦展望所方面から

 国道389号線を下田温泉方面に北上し、2つめのトンネルのすぐ手前を左折

下田温泉方面から

 国道389号線を南下し、鬼海ケ浦トンネルの次のトンネルを抜けてすぐに右折

入口付近には、何の表示もありませんので、ご注意ください。
 入口から道なりに車で5分程度進むと途中でY字路になっており、ここを左側に進入し、時計回りの周回路の突端を折り返す少し手前辺りで左手にゾウさんが見えます。