アクティブ・レンジャー日記
平戸市若宮浦のカブトガニ【平戸・九十九島地域】
2021年10月25日こんにちは!佐世保自然保護官事務所の溝口です。
10月6日に、パークボランティア活動で、平戸市若宮浦の干潟で、環境省のレッドリストで絶滅危惧Ⅰ類に指定されている、「カブトガニ」をテーマとして学習会を行いました。
カブトガニという名前を皆さん一度は聞いたことあるのではないかと思いますが、その姿を見たことはありますか??
古代からほとんど変わらぬ姿で生き延びてきた、生きた化石と呼ばれるカブトガニの姿がこちらです。
▼流れ着いていたカブトガニ(死骸)
固い甲羅を身にまとい、ノソリノソリと地を這い、干潟の泥のたまった海底に生息します。
別の成体(おとな)を裏返してみると。。。
お!!!まさに映画に出てくるエイリアンそのものです!!笑
この成体は生きていました!!生きた生体が見つかることはなかなかなないようで、ボランティアの皆さん大興奮!!
恐竜がいる前から生きてきたカブトガニですが、生息地の環境変化により、生息地・生息数共に減少し、絶滅の危機に瀕しているのです。
平戸・九十九島地域の海域はカブトガニにとって、残された、貴重な生息地のひとつなのです。
今回の活動では、カブトガニの幼生(こども)がどのぐらいいるかを調査しました。
カブトガニは、7、8月の大潮の満潮時につがいで卵を生みにやってきます。
卵は、約50日後に孵化し、幼生は引き潮に乗り河口干潟へと移動します。
干潟で脱皮を繰り返しながら成長し、大きくなると沖へと生活の場所を移動させるそうです。
ズブズブと沈んでしまうと抜け出せなくなる、干潟を用心しながら探しました。
私は見つけることが出来ませんでしたが、パークボランティアの方が、5匹の可愛らしい幼生を発見しました。
少し前までは、もっとたくさんの幼生が見られていたらしく、この若宮浦の干潟でもどんどん減っていっているのが現状だそうです。
カブトガニが生きて行くためには、河口域から沿岸の多様な環境が必要とされています。
カブトガニをとおして海の環境を守ることは、そこで生活する様々な生き物を守ることにも繋がっていることを改めて痛感し、まずは多くの方に「カブトガニ」やそこで生活する生き物のことを知っていただくことが、保護活動の一歩だと感じました。