アクティブ・レンジャー日記
タイワンツバメシジミの保全活動【平戸・九十九島地域】
2021年10月07日こんにちは!佐世保自然保護官事務所の溝口です。
突然ですが、皆さん。タイワンツバメシジミというチョウをご存じでしょうか?
8月下旬から10月上旬に活動し、シバハギというマメ科の植物に卵を産みます。
幼虫はシバハギの実を食べ成長し、ススキなどの株で越冬する草原性のチョウです。
生息環境の変化や愛好家による捕獲等で個体が減少しており、西海国立公園では、平成18年に国立公園・国定公園特別地域での捕獲等を規制する指定動物となりました。
環境省では、平戸・生月に生息するタイワンツバメシジミの生息状況調査や生育環境整備、人工増殖など地元のNPO法人の方々と実施し、保全活動を行っています。
今年新たに取り組み始めたことがあります。
それは、タイワンツバメシジミが安定して生息できる環境作りです。
タイワンツバメシジミが安定して生息するには、シバハギが安定して生育している必要があります。
そこで、人の手により草地となっている場所にシバハギの播種や株を移植し、タイワンツバメシジミの生息場所を創りだそうとする試みです。
▼シバハギの株の移植作業 ▼ウサギにシバハギを食べられないように防護措置を実施
9月10・11日、日本チョウ類の専門家とともに、モニタリング場所を訪れ、タイワンツバメシジミの発生状況や、卵の有無を確認しました。
例年より、成虫の数が多く、皆さん「今までやってきて、こんなにたくさんいたのは始めてだ!!」と驚き喜ばれていました。
▼タイワンツバメシジミの飛翔及び産卵状況など ▼タイワンツバメシジミの卵
そして、保護活動の一大イベントが行われました。
9月24日、人工飼育下で孵化した幼虫を、新たに創った生息環境下、シバハギの実にそーっと放虫しました。
さあ!!来年、幼虫が無事越冬し、サナギを経て成虫に育ってくれるでしょうか!!
▼人工飼育した幼虫 ▼シバハギに放虫作業
タイワンツバメシジミの生態もまだまだわかっていないことが多く、シバハギもデリケートな植物のようで、なかなか、思うように行かないこともあるようですが、地元の方々と共にタイワンツバメシジミの保護増殖に努めていきたいとおもいます!