アクティブ・レンジャー日記
雲の上の避暑地_地獄に光3【雲仙地域】
2021年10月04日
雲仙
こんにちは。
「雲の上の避暑地」雲仙にある雲仙自然保護官事務所の古城です。
雲仙復興の一部についてお伝えするレポートの続きです。
みなさまは、「温泉を引く」という言葉から、どのような仕組みを想像されますか。「地面を掘って湧き出た温泉を動力(ポンプ等)でくみ上げる」ところを想像しませんか。
次の写真を見てください。
お気付きになりましたでしょうか。八万地獄では、源泉に直接パイプが入れてあります。各源泉に差し込んであるパイプは温泉を集め、徐々に進路を同じくして束ねられ・・・、
大きな木箱につながります。この木箱を「温泉沈殿升」と呼んでいますが、中を3室に区切っており、源泉からのお湯に含まれる泥などをこの箱の中に沈殿させています。
温泉沈殿升に集められた温泉は、再度パイプを通って各温泉施設へと流れていきます。
・・・そうなんです!八万地獄は、温泉を掘削したり、ポンプで上げたりしていません。重力を利用して地獄からお風呂まで温泉が運ばれているのです。八万地獄に限らず雲仙地獄からのお湯は全てそのように引かれていますが、電力等のエネルギーを使用せず、源泉からそのまま温泉が運ばれている温泉は、究極のエコ温泉なのではないでしょうか。
それだけではなく、源泉にパイプを直接入れお風呂に流し込む、このワイルドな雰囲気は、「そのまんま温泉」とも、「温泉of温泉」とも呼びたくなるのは私だけでしょうか。雲仙にいるのに全く知らなかったのが恥ずかしいのですが、この仕組みには本当に驚きました。
レポートは、次の回で終わりです。(続く)