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九州地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記

雲の上の避暑地_地獄に光1【雲仙地域】

2021年09月13日
雲仙 古城かおり

 こんにちは。

「雲の上の避暑地」雲仙にある雲仙自然保護官事務所の古城です。

 8月11日から日本列島付近に停滞した前線による大雨は、九州や中国地方を中心に、各地に甚大な被害をもたらしました。

 ここ雲仙でも、他の地域と同じく特別警報が何度も発表され、八万地獄に土砂が流れ込みました。小地獄地区では、雲仙にとってなくてはならない存在であった方々が、土砂崩れで犠牲になられました。

 この度の災害に対し、心からお見舞い申し上げますとともに、どうぞ安らかな旅立ちになりますよう、心からお祈り申し上げます。

 雲仙は、一歩一歩、復興に向けての歩みを進めております。その歩みのほんの一部をお伝えしたく、アクティブレンジャー日記を書くことにしました。

お糸地獄春の風景

 写真は4月20日の雲仙お糸地獄の様子です。雲仙地獄は、「地獄」と言われていますが、まるで天国のように美しい場所です。

 標高約700メートルのところに位置し、空に近くて空気が澄んでいます。低地より5度ほど気温が低く、夏はエアコンが無くても過ごせます(雲仙自然保護官事務所では、この夏エアコンを一度も使いませんでした)。明治期は温泉保養施設を伴う避暑地として外国人観光客が押し寄せました。

 鮮やかな緑の山々が雲仙温泉街を360度囲み、乳白色の岩塊が湯煙の中から見え隠れするなかを歩けば、ラムネブルー、ネオンイエローの岩石が温泉の流れとともに反射して眩しいぐらいです。遊歩道を早朝に歩くと、温泉の湧くシュウシュウという音と、目の前を飛び交う野鳥の鳴き声しか聞こえず、数万年前にタイムスリップしたような感覚になります。

ラムネブルーの岩石と水の流れ

八万地獄の遊歩道

 8月13日夕方、降り続く雨の影響で、八万地獄の一部に土砂が流れ込みました。

下の写真は8月18日に撮影した八万地獄です。被害の様子をニュースでご覧になった方も多いと思います。

八万地獄大雨後の様子

 悲しくて暗いニュースと次に起こるかもしれない災害、将来への不安などで、雲仙には重たい空気が流れました。

 そんななか、自然から素晴らしいニュースが届いたのです。(つづく)