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九州地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記

タデ原湿原野焼きとその後【くじゅう地域】

2021年05月31日
くじゅう 宮本靖之

アクティブレンジャー日記をご覧の皆様、はじめまして。

今年度41日よりくじゅう管理官事務所に着任しました、

アクティブレンジャーの宮本靖之といいます。

今回の日記では着任後はじめての活動となった、

「タデ原湿原野焼きとその後」についてお伝えしたいと思います。

雨天により延期が続きましたが、今年も4月に飯田高原の野焼きが行なわれました。

事務所のそばにあるタデ原湿原も、飯田高原野焼き実行委員会とその協力者たちの力で野焼きが行われ、一面黒に染まりました。

地域に住む方々とお話した際には、

「くじゅうの春の色は黒」、「野焼きが終わってやっと1年が終わり」などの言葉を聞くことができました。

▲野焼き中のタデ原湿原

▲野焼き後のタデ原湿原木道沿い

数日後、植物たちは無事だろうか...

気になって草原に向かいましたがなんのその、

黒い草原からは立派なキスミレが咲いていました。

▲野焼き後の野原に咲くキスミレ

(レッドデータブックおおいた絶滅危惧Ⅱ類)

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ここで少し野焼きのお話です。

野焼きを行わなければ草原はどうなってしまうのでしょうか。

下の写真はタデ原湿原内の一画でみられる光景です。

▲タデ原湿原内の一画

写真左側に見られる林は野焼きで火が入っていない場所です。

このように野焼きを行わない場所は背の高い植物に覆われていきます。

野焼きには低木や樹木が繁茂することを抑制する役割があるのです。

次にお見せするのは林床の写真です。

▲林床の様子

上の写真から分かるように林床には草原に生えているような植物は見られません。

これは低木が繁茂することによって地面に光が届かなくなるからです。

草原で見られる植物は林になると減少してしまうということです。

以上のことから、野焼きは草原を維持する役割を担っているとともに、

草原を生息地とする植物を守ることにも繋がっているのです。

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約1ヶ月後、タデ原湿原の同じ場所で写真を撮影してみました。

見事な緑です。

▲5月に撮影したタデ原湿原木道沿い

また、草原を飾る花にも変化が見られました。

空に向かって一直線に伸びる黄色い花はサワオグルマです。

▲木道沿いに生えるサワオグルマ

野焼きから約1ヶ月。

「野焼きの黒」は「植物たちの緑」となって、季節を繋いでいるように思えます。         

拙い文章ではありますが、これからもくじゅうの大自然とそこに生きる人々の魅力や輝きを伝えていきたいと思います。どうぞ、よろしくお願いします。