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九州地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記

猪の瀬戸湿原の保全活動 【くじゅう地域】

2021年05月18日
阿蘇くじゅう国立公園 神代拓馬

こんにちは。

5月下旬になり、くじゅうでも暖かい日が多くなってきました。

今回は、猪の瀬戸湿原の話をしたいと思います。

猪の瀬戸湿原は、由布岳と鶴見岳のふもとにある湿原です。ここでは、「猪の瀬戸湿原保全の会」という保護団体が希少な植物が残っている湿原を後世に引き継ぐことを目的として、湿原の維持活動や観察会などをおこなっています。

     猪の瀬戸湿原と由布岳             観察会の様子

私は、約1年この保護団体さんとともに活動に参加していただきましたが、その中でも主な活動を紹介しようと思います。

猪の瀬戸湿原は、人の手が常に入らないと維持できない環境で、放置するとあっという間に森林化して、湿原に生える希少な植物はいなくなってしまいます。そのため、湿原を維持するために野焼きを毎年行っています。野焼きをすることで、森林化の元となる植物や草丈が長い植物がなくなるため、希少な植物が生えてくる環境が整います。

 

                 野焼きの様子

また、この湿原周辺はシカが多く生息しており、サクラソウなどの希少な植物が食べられてしまう被害が発生しています。そのためにシカ防護柵を希少植物が生えている場所に設置し、被害を抑えています。また、冬季を除いた月1回植生調査を行い、シカの食害を調査しています。

      植生調査の様子            シカ防護柵設置の様子

その熱心な長年の保全活動のおかげで、サクラソウやチョウセンスイランなどといった希少植物が毎年見られています。さらにその活動が功を奏し、令和2年に別府市の生物環境保護地区に指定されました。今年度最初の観察会でもサクラソウ群落を見に来る方が多く訪れました。

      サクラソウ              チョウセンスイラン

                サクラソウ群落

今後も野焼きなどの活動が続き、この先も今と同じような景観が見られるように、環境省としても活動に参加してサポートできたらと思います。