アクティブ・レンジャー日記
トビカズラの島 トコイ島(その1)【平戸・九十九島地域】
2021年04月08日こんにちは!佐世保自然保護官事務所の溝口です。
皆さん、トビカズラという植物をご存じですか?
4月から5月上旬に花を咲かせる植物で、濃い紫色の特徴的な形をしている、ツル性の植物です。
実はこのトビカズラ、国内で4カ所のみで自生しているとされているのですが、
この貴重な花が、九十九島のトコイ島でも生育しているのです!!
先日このトコイ島へ、グリーンワーカー事業として九十九島の会の皆さんとトビカズラの生育状況のモニタリングと海岸清掃へ行ってきました。
昨年の台風の影響で、葉っぱがダメージを受け枯れている場所があるという情報があり、少し心配でもありましたので、現在の状況の確認も含めての調査になります。
▼瀬渡し船でトコイ島へ渡ります。
▼トコイ島が見えてきました。
▼よく見るとトビカズラの葉が茂っているように見えています。
(赤い線で囲んでいる部分)
お!!これは期待できるかも!!と胸を躍らせ、いざ上陸!
海沿いと高い場所の二手に分かれ、調査開始!!私は、高い場所の調査に行きました。
険しい森の中を15分ほど登ると、トビカズラが観測できるエリアに到着しました。
見上げると、期待通りに葉もたくさん茂り、花も開花していました。
台風の影響は一安心。
海岸沿いでは、台風の影響を直に受けたためか、残念ながら開花の確認はできなかったようです。
トビカズラは、日本にはいないフルーツバットのような蜜を食性としたコウモリなどによって受粉します。
トコイ島では自然に受粉することはありません。人工授粉すると結実して、長い大きな実をつけます。
▲人工授粉によって結実したトビカズラ
九十九島トコイ島のトビカズラ。なぜここに自生しているのか詳しいことはわかっていないようです。
そんなに珍しい植物、長崎県ではトビカズラは島に渡らないとみれないの??と思ったそこのあなた!!
実は佐世保には手軽に観察できる場所が、あります!!
自生ではないですが、九十九島ビジターセンターの対岸にある長尾半島でも楽しむことができるのです。
5月上旬まではトビカズラの花や独特な香りを楽しむことができると思いますので、
是非足をお運びください。