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アクティブ・レンジャー日記 [九州地区]

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2021年01月20日絶滅危惧植物ヤクシマソウの息づく森【屋久島地域】

屋久島国立公園 池田 裕二

平成30年度に「種の保存法」により国内希少野生動植物種に指定されたヤクシマソウ。

令和2年(2020年)の梅雨は長雨で、自生地の土壌流出が心配されましたが、無事に開花株を確認できました。

屋久島固有種のヤクシマソウ。

落ち葉の間から、針金のように細い花茎が立ち上がり、赤紫色の小さな花をつける不思議な花。大木が多く、土壌の安定した豊かな森の中で、夏の短い間しか見られません。自生地はごくわずかしか見つかっておらず、100年以上も人の手が加わっていないような古い照葉樹林でひっそりと生きています。絶滅危惧ⅠA類のフササジランやアシガタシダなど、複数の絶滅危惧種が生育する貴重な森でもあります。

フササジラン

▲フササジラン(絶滅危惧ⅠA類・国内希少野生動植物)も長梅雨の影響は無いようでした。

アシガタシダ

▲アシガタシダ (絶滅危惧ⅠA)

「足型」に見えますか?アシガタシダはハチジョウシダの一種で、緑色が濃く、やや硬めの葉をもちます。栄養葉と胞子葉の形が異なるのも特徴です。

国内では屋久島と沖縄の一部にしか自生しないといわれる珍しいシダで、滅多に目にすることはありません。

よく似た種類に、ハチジョウシダとヒカゲアマクサシダ(絶滅危惧ⅠB類)があり、この種の小型の葉と間違えやすいです。

ハチジョウシダ

▲アシガタシダと一見よく似た、ハチジョウシダの小株。島では広く見られる普通種で、形や葉の厚みに変異が多く、他種と間違えやすい。

ヒカゲアマクサシダ

▲ヒカゲアマクサシダの小株 (絶滅危惧ⅠB)

鋸歯といわれる葉の縁のギザギザが顕著で、ハチジョウシダやアシガタシダに比べて色も葉厚も薄い。大型になる種類です。

近年の屋久島の調査ではヤクシマソウのように開花期が限定される小型の花や、類似した形の種が多いシダが対象となることが多いのですが、シダは特に難しい生物群です。種類も多く、変異の多さや自然交雑種の存在にも悩まされます。

現地調査では同定といって種を識別する作業が必要です。似た種類が多いグループは、最初はなかなか見分けが付かないのですが、ポイントを押さえて種の同定ができるようになれば、生物に対して愛着がわき、その存在をより身近に感じられるようになります。

↓オマケ 照葉樹林の宝石。アヤムネスジタマムシ。きれいですね。

たまむし

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