アクティブ・レンジャー日記
くじゅう式タイバックアンカー工法とは【くじゅう地域】
2020年12月15日こんにちは。
本日朝からぱらぱらと雪が降り、ようやく冬本番を感じさせる寒さとなってきました。
前回、玖珠美山高校の登山道整備について紹介しましたが、今回は平成30年度に玖珠美山高校が行い、今年の豪雨にも耐えた登山道整備方法について紹介したいと思います。
2年前、玖珠美山高校の高校生、私の担当の班はラグビー部の生徒達が多かったのですが、生徒達と共に4点結束タイプの土留め整備をしました。この工法はくじゅう式タイバックアンカー工法と呼んでおり、地元の自然保護団体、九重の自然を守る会より指導頂きました。
水の通り道になり、登山道側面から崩れていた箇所ですが、4点結束タイプの土留めを2段整備することで崩落を防ぎました。
▲まずは整備の全体像を説明
▲設置した板の後ろに石を敷き詰めていきます
▲リーダーの指示に従いながら、高校生達が石を運びました。ラグビー部の生徒達が頼もしかったです。
今年は7月に豪雨もありましたが、崩れることなくがっちりと止まっています。
こうして比較すると、土留めにはほとんど変化がなく、また、笹の活着も見られます。
この2年間には豪雨や台風、積雪もありましたが、その全てに耐えました。すばらしい耐久性です。
▲平成30年度整備 ▲令和2年度状況
ここで、そもそも「4点結束タイプとは??」
ということで、通常のタイプと、4点結束タイプの比較をまとめています。
▲アンカーとロープも大切ですが、石を詰めて水抜きの確保と設置箇所の選定も重要です
この2つのタイプを、作業の人員や現場の状況などを見て使い分けていますが、使用する資材も異なるため、下見や事前の計画が重要な要素となっています。
そして、先月、熊本、阿蘇事務所から4点結束タイプの視察に来られました。
▲構造の説明
実際に登山道の整備箇所を見た後に、長者原園地にて、解説を行いながら1段制作しました。
アンカーで後ろに引いた後に石を積めていきます。今回は石が多くない場所でしたので足りない部分には木の枝を敷いて対応します。
▲水抜きのため石を詰めていきます
▲石が現場になく、試行的に木の枝を敷いていきます
▲足で圧をかけてもビクともしません。今回の視察を機に熊本や阿蘇などにも広がっていけばと思います。
くじゅうでは7月豪雨で登山道が被害に遭いましたが、地元協議会を通じて、関係機関で連携を行い早期の登山道復旧を行うことが出来ました。
この復旧作業にも今回の4点結束タイプの整備方法が活躍しました。
▲2020年7月30日 ▲2020年12月10日
これも、普段から団体の枠を越えて、共に作業を行い、連携を取って技術の交流や情報交換などを行っていたからではないかと感じています。
今回はくじゅうで行っている登山道整備について紹介しましたが、こういった技術や事例がくじゅうだけではなく、他地域の参考になり、繋がっていければと思います。