アクティブ・レンジャー日記
対馬の養蜂と特定外来生物ツマアカスズメバチ
2020年07月23日こんにちは。対馬自然保護官事務所の小川です。
突然ですが皆さん、対馬では養蜂が盛んなことをご存知ですか?
対馬のおいしいものを聞かれたら、私はまず「ハチミツ!」と答えます。
日本にはセイヨウミツバチとニホンミツバチの2種類のミツバチがいますが、
対馬は、ニホンミツバチしか生息していない珍しい島です。
この島では、丸太をくり抜いた「蜂洞(はちどう)」を使って、
ずっと昔からニホンミツバチの養蜂がおこなわれてきました。
島のあらゆる場所で見かける蜂洞。島民の数より多いという噂も・・・
ニホンミツバチは様々な花の蜜を集める特性があり、その蜂蜜は
優しい甘さとコクと香りの何とも例えがたい最高の味わい。
まさに、味の宝石箱や~~~です。
話を戻します。
対馬の人にとって蜂蜜は、単なるおいしいものではありません。
時にそれは「薬」にもなります。
少なくとも小川家では、風邪をひいたらまず蜂蜜湯を飲み、
ニキビ・口内炎・唇の荒れなど、あらゆる炎症に蜂蜜を塗ります。
乾燥肌の妹は「蜂蜜パック」なんてことをします。贅沢者め・・・。
このように、古くから対馬の生活に根づいている蜂蜜ですが、
ニホンミツバチからの採蜜量はとても少ないため、
対馬の人でも簡単に入手できるわけではありません。
というわけで、
我が家ではニホンミツバチを飼いはじめました。
我が家の蜂洞。丸太くりぬき型ではなく、師匠オススメの重箱型を使っています。
おしりをぷりぷりさせながら蜜や花粉を集めるミツバチは
とっても可愛く、いつまででも見ていられます。
両脇に花粉団子を抱えて帰ってきたミツバチ
じっと観察していると、いろんな生き物が集まっていることに気づきます。
蜂洞の陰にナメクジが隠れていたり、
ミツバチが落とした花粉を持っていくアリがいたり。
そしてついに
あいつがやって来ました。
黒っぽい体に黄色い足が特徴の特定外来生物、ツマアカスズメバチです。
ぶううううんと重低音を鳴らしながら蜂洞に近づいたかと思うと、
ぱっとミツバチを捕まえて去って行きました。
何が起こったのかわからないほど、一瞬の出来事でした。
しばらくするとまたやって来ました。
今度は巣の入り口で、ミツバチが出てくるのを待ち構えています。
それに気づいたミツバチは、巣の中に隠れて出てきません。
丸太くりぬき型の蜂洞の場合、入り口が大きいため
ツマアカスズメバチが中に入ってミツバチを捕ってしまうそうです。
私の師匠が重箱型をオススメする理由の一つがこれです。
最終的には私が追い払いましたが、
近くにツマアカスズメバチの巣があることは確かです。
私のかわいいミツバチちゃんは日々狙われています。
無事おいしい蜂蜜にありつけるでしょうか・・・。
環境省では、対馬自然保護官事務所厳原事務室が中心となって
ツマアカスズメバチ対策をおこなっています。
近況は厳原事務室新米ARの初投稿をお待ちください!