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九州地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記

国内希少野生動植物種に屋久島のオオバシシランが指定されました 【屋久島地域】

2020年03月25日
屋久島国立公園 池田 裕二

 新しく保護対象となったシダのお話です。

 2020年2月、屋久島に自生するオオバシシランが国内希少野生動植物種に指定されました。

▼オオバシシラン

オオバシシラン

オオバシシランのソーラス

 絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律(種の保存法)に基づき、国内に生息・生育する絶滅のおそれのある野生生物のうち、人為的な影響により減少が見られる種等を「国内希少野生動植物種」に指定しています。屋久島に生息・生育する指定種は、ほかにハヤブサやヤクシマリンドウ、ヤクシマソウなどがあります。

 動植物を保護する制度はいくつかあり、種の保存法のほか、自然公園法、文化財保護法(天然記念物の指定)などがあります。種の保存法は特に厳しい規制がかかる法律です。販売・頒布目的の陳列・広告、譲渡し、捕獲・採取、殺傷・損傷、輸出入等が原則として禁止です。つまり一般的には人の手に渡ることがない種類となります。

 さて、オオバシシランですが、2014年に新種と判明した、とても珍しいシダです。それまでは中国や東南アジアなどに自生するHaplopteris amboinensisという学名の種類と同一の種と考えられていましたが、葉緑体のDNA解析を行った結果、別種のHaplopteris yakushimensisとして分類されました。和名にランと付きますがシシランというシダのグループです。シシランは屋久島の森でよくみかける普通種ですが、オオバシシランは屋久島内で確認されている自生地がわずか数地点です。

 株数は元々少なかったうえ、森林開発やヤクシカに食べられてしまうことにより、さらに減少したと考えられています。80年代に撮影された写真が残っており、当時は現在よりも大きな株があったようです。ぜひとも新たな群生地を見つけたいところです。

 屋久島は世界でも稀にみるシダの宝庫と言われています。多様な自然環境と、古くから残された森、そして雨の多い気候がシダを育むのでしょう。生物多様性という言葉を身近に感じることができる島です。

しかしながら、絶滅に瀕した種類が多いのも事実です。こうした希少な生物種の調査を行い、どのような保全をすべきかを考え、対策を講じていくのも私たちの仕事の一つです。