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九州地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記

台風とサンゴ

2019年10月28日
西表石垣国立公園 神保彩葉

みなさん、こんにちは。

石垣自然保護官事務所の神保です。

今年は台風が多いですね。

台風被害に遭われた方、心よりお見舞い申し上げます。

さて、今回は9月末に石垣島に接近した台風18号とサンゴのお話です。

舞台は米原海岸。

米原海岸は、石垣島内で手軽に美しいサンゴ礁が観察できる場所として、

人気のスノーケリングスポットであり、国立公園に指定されています。

10月上旬、そんな米原海岸礁池内において、サンゴの白化現象が確認されました。

白化前 (9月17日撮影)

  

白化中

(10月2日撮影)  JELLY FISH 提供

 

(10月5日撮影)

 

今回の白化は、

○台風18号の影響で大雨が続いたこと

○大潮の干潮と重なったこと

によって、礁池内が一時的に淡水にさらされてしまったことが要因のひとつではと考えています。

地元関係者の人たちと、米原海岸の現地確認をしたところ、

今回白化した範囲は、以下のように、河口域に集中していることが分かりました。

また、別件の調査で米原海岸を泳いでいた地元関係者の方が、

白化直前、こんなものを撮影したそうです。

9月28日夕方撮影  提供:エコツアーふくみみ 大堀健司氏

この日、水面には、上の写真のような大量のぬるぬるとしたものが浮いていたそうです。

サンゴはストレスを受けると、自分の身を守るために、粘液を出すことがあります。

水面をただよっていたものは、サンゴたちが出した粘液ではないかと推測しています。

「台風は、海水をかき混ぜる効果があり、水温が下がってサンゴにとって良いこと」

という印象を持っている方も多いと思いますが、

サンゴの棲んでいる環境によっては、一概にそうとは言えないようです。

また、よく勘違いされがちですが、サンゴの白化=死亡ではありません。

今後の海の環境次第で、サンゴの体内に残った褐虫藻が復活し、健全な状態に戻ることもあります。

無事に元気な姿に復活しますように・・・。

今後も地元の人たちと協力しながら、サンゴたちの様子を随時、観察していきたいと思います。