アクティブ・レンジャー日記
慶良間諸島国立公園の成り立ちを学ぼう
2019年02月24日こんにちは。慶良間諸島国立公園は、来る3月5日で国立公園に指定され5周年を迎えます。その記念イベントとして2月23、24日の二日間にわたり、沖縄県立博物館・美術館主任学芸員の宇佐美賢氏を講師にお招きし、慶良間諸島の地形と地質をテーマに講演会と観察会がさんごゆんたく館で開催されました。
講演会では、慶良間諸島と沖縄の他の島々を比較しながら、島の成り立ちや地形の特徴などを分かりやすくお話して頂きました。
沢山の質問が飛びかい、活気ある講演会となりました。
琉球列島の地図と共に各島の特徴的な石や砂が展示され、参加者は手に取り見入っていました。
慶良間の島々をつくる石は4つあります。
その中で代表的な、砂岩(砂が押し固められて出来た岩石)と
泥岩(泥が押し固められて出来た岩石)が変成した黒色千枚岩です。
さて、2日目は阿嘉島・慶留間島をフィールドに観察会の開催です。参加者は島内のみならず、渡嘉敷島や沖縄本島からも幅広い年齢層の方に参加頂き、小雨がちらつく中でしたが元気に出発しました。
まずはゆんたく館のすぐ裏から観察です。 こちらは泥岩と砂岩が交互に層になっています。
主に砂岩で出来た地層です。
普段余り気にした事がなかった石塀やアスファルトも、ルーペで見ると新しい発見が沢山ありました!
途中ケラマジカとも遭遇。
午後からは雨も上がり、阿嘉大橋を渡り慶留間島へ向かいました。
迫力ある露頭に到着。
この辺りは、緑色岩類(海底火山で噴出した溶岩や火山灰が、
その熱と海水との作用によって出来た岩石)が多くなります。
慶良間諸島をつくる3つ目の石です。その名の通り、暗緑色の岩です。
最後は海岸沿いのビーチロック(海水中の炭酸カルシウムなどによって
海浜の砂礫が自然に固化したもの)を観察しました。
まるで誰かが並べたようにみえますね。
さて、慶良間諸島をつくる4つ目の石、何だと思いますか?
答えは、今回の観察会では見る事が出来ませんでしたが、琉球石灰岩です。(渡嘉敷島の一部では琉球石灰岩を見る事ができます。)慶良間諸島の琉球石灰岩は海底80メートル前後の地層の中にあるといわれています。
今回は陸も海も含めた大きな視点で見る観察会となりました。慶良間諸島国立公園の成り立ちを知ることで島の魅力や自然の大切さを改めて感じ、美しい島を守るために私達が出来る事を考えるきっかけになったと思います。参加者の皆さん、お疲れ様でした!