アクティブ・レンジャー日記
小値賀島周辺離島における生きもの・地形調査 【平戸・九十九島地域】
2018年08月20日こんにちは!
佐世保自然保護官事務所の岡山です。
7/14-15、五島列島小値賀島の周辺に浮かぶ小島に、平戸・九十九島地区パークボランティアのメンバーと共に生きものと地形の調査に行きました。
平戸市南端の宮ノ浦漁港からチャーター船で出発し、途中に見える野崎島には、先日世界遺産に登録された『長崎と天草の潜伏キリシタン関連遺産』の構成資産「野崎島の集落跡」があります。この島では現在、人が住まなくなったことでシカが増え、シカの食害による裸地化が進み、島の斜面崩壊が起こっています。人と自然の共存が続いてきた土地では、両者のバランスが崩れてしまうと、このように自然にとっての悪影響を及ぼすことがあります。
野崎島南部 平島全景
出発しておよそ2時間で到着した平島の北部は火山の隆起によってできたもので、主に玄武岩から成り、南部は火山灰や火山礫などの堆積によってできています。また、島の北側には玄武岩で囲まれて外海と切り離され浅い内海となったラグーンがあります。
玄武岩から成る平島北部 火山性堆積物から成る平島南部
玄武岩で囲まれたラグーン
生きものの調査では、海岸の開発で個体数減少のおそれのあるスナビキソウや鮮やかな青緑色が美しいアヤニシキなど、海岸に生育する多くの植物を確認できました。
スナビキソウ アヤニシキ
当初は平島でキャンプする予定でしたが、熱中症のおそれがあり、有人島の大島へチャーター船で渡り、区長のご厚意で公民館に泊めてもらうことができました。
2日目は小値賀島の北に浮かぶ納島へと渡ると、アコウの巨木が目に入りました。アコウは絞め殺しの木とも呼ばれ、鳥などによって運ばれたアコウの種子が他の木の上に落ちると、元の木を絞め殺すように絡まりながら成長するためそう呼ばれています。
納島はラッカセイの生産が有名ということなので、ラッカセイ畑を見学しました。道中にはトキワススキも見られました。「ススキといえば秋じゃないの?」と思われるかもしれませんが、このトキワススキは夏に穂を出すのが特徴です。こうして納島での人々の生活の様子や生きものの調査を終えました。
アコウの巨木 トキワススキ
今回、平島や納島での調査を終え、島の特徴的な地形が作り出す美しい風景と、それが育む多様な生きものの姿を観察することができました。
子どもたちの夏休みもあと少しですが、まだまだ暑い日は続きます。水分はこまめに摂り、しっかりと熱中症対策をして、最高にアツい夏を楽しく過ごしましょう!