九州地域のアイコン

九州地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記

雨の恵みと脅威 【屋久島地域】

2018年06月11日
屋久島国立公園 池田 裕二

 梅雨真っただ中の屋久島です。

 雨はすべての生き物に恵みをもたらします。この時期に草木はぐんぐんと成長し、新芽や木の実をシカやサル、昆虫たちが食べます。サルは子育て中、シカも出産シーズンを迎えています。

 そんな恵みの雨も、時に脅威をもたらします。雨が多いことで有名な屋久島では、山間部の雨雲が発生しやすい場所で、年間降水量が10,000mmに達するとも言われます。1日に降る量も、大雨の時は数百mmに達することさえあります。

 大雨が降ると登山道が川のようになり、道の柔らかい部分を浸食してしまいます。場所によっては1回の大雨で数十cmも浸食されることがあり、登山道の整備が必要になります。放っておくとますます浸食が進み、登山道が周りの植生もろとも大きく崩壊してしまう恐れがあります。そのため環境保全の観点からも早めに手を打たなければならない場所も発生します。

▲水による浸食で1m以上も深く掘れてしまった登山道

▲登山道が沢のようになり、浸食が進む

現在、屋久島の宮之浦岳、永田岳周辺の登山道のうち、整備が必要な個所を調査しています。登山道の状態によって土砂流出を防ぐ工法を選定し、設計を行っています。

 ▲登山者に人気の永田岳。今後登山道整備を行う予定です。