アクティブ・レンジャー日記
ヤマネコの仔猫を保護しました
2018年05月18日みなさん こんにちは。西表自然保護官事務所の関東です。
西表島も5月になり暑い季節に入りました。イリオモテヤマネコも母ネコの後をついて仔猫が動き回る時期になったため目撃情報がちらほらと入ってきています。そんな中、島北西部の集落町道でヤマネコの仔猫が頻繁に出てきているとの情報が入りました。
西表野生生物保護センターでは、ヤマネコの目撃情報が多発している場所へ移動式看板を立てて注意喚起を行っています。
今回も看板を立て、林内にはモニタリング用のカメラを設置しました。
目撃情報が続々と入ってくる中、5月13日未明に「仔猫がうずくまって動かない」と通行者から連絡が入り職員が現場へ向かい無事保護しました。センターへ収容し診察したところ顔面に衝撃を受けた痕があり、左目が縮瞳、下顎に小さな割れがあり犬歯が前方へ折れ曲がっていました。また、血液検査の値に異常が見られたことと削痩していたため収容となりました。
保護した個体の性別はメスでした。
メス個体を治療中の(13日)日中にも保護現場近くで、仔猫がうろうろしているとの連絡が入ってきたため兄妹がいる可能性が出てきました。
そして15日の夕方、帰宅途中の私に「庭に仔猫がいると連絡がきたので確認してほしい」と連絡が入りました。ちょうど近くに居たため現場へ向かうとお庭に積んであったガラス玉の間に入っていったとのことで住民のかたとしばらく様子を観察することにしました。
その間に職員と専門家の相談の結果、一時的に保護して健康診断を行うことになりガラス玉の山から出てきた仔猫を無事捕まえました。
捕獲時に鳴き声をあげて威嚇し、かなり元気でしたがグローブ越しに伝わる感触は13日に保護した個体と似ていました。また、尻尾の形に違和感がありました。
保護センターへ持ち帰り診察の結果、13日のメス個体と同様に痩せていて血液検査の値も正常値ではなく尻尾には裂傷がありハエに産卵され孵化した幼虫に食べられていたことから、そのまま収容ということになりました。
今度の個体の性別はオスでした。
尻尾の傷。結構痛そう。
空腹なのに「絶対食べないぞー」と強制給餌を拒むオスの仔猫。このあと、ケース内に戻して落ち着いたころにしっかりと食べました。
2頭の仔猫たちは、現在も治療継続中です。順調に回復すれば野生復帰を目指した訓練へ移行する予定です。
ゴールデンウィーク前からヤマネコやカンムリワシの交通死亡事故が立て続けに発生しました。この中には今回、保護された母ネコの可能性がある個体も含まれています。来島される方は生きものに配慮した走行をお願いいたします(西表島の法定速度は集落内30㎞、集落外40㎞です)。