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九州地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記

草刈りとカダヤシ駆除

2017年11月29日
鹿児島 前平理恵

11月19日(日)、パークボランティア活動に参加してきました。パークボランティアの方々や休暇村指宿のスタッフの方々と一緒に、指宿市のビオトープ池周辺の草刈りを行いました。草刈り後には散策路もすっきりとして、隠れていたベンチも気持ちよく使える状態になりました!

鎌で丁寧に草刈りをしてくれました。

                    ▲鎌で丁寧に草刈り

また、草刈り作業の後に、特定外来生物「カダヤシ」の駆除にチャレンジしました。

特定外来生物とは、海外からやってきた外来生物のうち、特に生態系や人の生命・身体、農林水産業へ大きな被害を与える可能性のあるものとして指定されたものです。最近では特定外来生物の「ヒアリ」が大きな話題を呼んでいますね。

「カダヤシ」は、蚊の幼虫であるボウフラを食べてくれるし、なおかつどんな環境でも生き延びやすい、さらに強力な繁殖力を持っていることから、蚊の駆除を目的として台湾などから意図的に持ち込まれた生物です。しかし、そのタフさと繁殖力の強さが仇となり、また攻撃性も強いことから、もともと日本にいた生きもの達を生態系から追い出してしまう危険性を持ち合わせています。同じ生息環境で生きる日本古来のメダカを例にとると、メダカを攻撃する→メダカの繁殖率が下がる→しかしカダヤシの繁殖率は下がらない→結果的にカダヤシばかりが増えてメダカがいなくなってしまう、という状況になってしまいます。また、カダヤシは水面に浮く動物を食べるため、水面近くを泳ぐメダカの赤ちゃんも食べてしまいます。

メダカとカダヤシのちがい。見た目が似ていますが、尻びれや尾びれの形が違います。

▲メダカとカダヤシの違い

「カダヤシ」も「ヒアリ」も、飼ったり生きたままどこかへ持って行ったりすることは法律で禁止されています。違反したら罰金を払わなくてはならない可能性もあるのですよ!

この「カダヤシ」、見た目はメダカそっくりで、池にいるカダヤシをメダカと間違えてお家に持って帰ってしまう人がいるほどです。

国立公園から特定外来生物が拡がってしまう!これはいけない!ということで、カダヤシの駆除を試みようとしたところです。

(※外来生物の3原則は、「入れない」「捨てない」「拡げない」です!)

居合わせた親子も一緒にカダヤシ採集。兄弟そろって夢中。 ボランティアのおじさんも負けじと網をふります。

   ▲兄弟そろって生きもの採集に夢中           ▲おじさんも負けないよ~

今回は、たまたま居合わせた親子と一緒にカダヤシを捕まえました。寒いせいか夏に比べて捕まえるのが難しかったですが、30匹ほど駆除することができました。「駆除」と言っても、勝手に連れてこられて勝手に駆除されているカダヤシにとってみれば、人間に振り回されているとしか言いようがありませんよね。駆除しながらいつも悶々と考えることがありますが、「何かにとっての良いことの裏には、別の何かにとっての悪いことがあるかもしれない」ことを忘れてはいけないなあと思う日々です。

その他にもいろいろな生きものに出会い、ついでに生きもの観察もすることができました。

他にもツチガエルやヤゴ、ゲンゴロウの仲間に会いました。

みなさん、メダカと思っているそのお魚、カダヤシだったりしませんか??