アクティブ・レンジャー日記
今年も出前授業を実施しました!【屋久島地域】
2017年11月03日みなさん、こんにちは!
屋久島自然保護官事務所の水川です。
9月から10月にかけて、屋久島町立小瀬田小学校5年生と神山小学校4年生を対象に、教室と野外で出前授業を実施しました。
▲教室授業の様子。(神山小学校)
国立公園や世界遺産、屋久島の自然環境やレンジャーの仕事について話をしました。
野外授業は、小瀬田小学校の皆さんは島の東部にある田代(たしろ)海岸に出かけました。学校から車で20分弱と近場ですが、屋久島国立公園にもなっている自然豊かな海です。
田代海岸に流れ込む田代川で生き物や水質を調査したり、海でビンゴゲームをしながら生き物を探しました。
▲川で生き物採集をする様子。中には全身水に浸かって泳ぐ子もいました。
▲採集した川の生き物。写真には写っていませんが、トビケラやカゲロウなどの指標生物(水質を判定するときに探す生き物)もたくさんいました。
▲生き物を観察する様子(左)と指標生物の数を数えて水質を判定している様子(右)。
神山小学校の皆さんは、島の南西部にある栗生塚崎(くりおつかさき)海岸に出かけました。ここも屋久島国立公園です。
海岸ではたくさんの生き物を見つけることができました。
▲タイドプール(潮だまり)で生き物を採集する様子(左)。大きなカニを捕えようと大奮闘!
ナマコに触ることをためらう子どもたち(右)。触れてみると「あっ、つるつるで気持ちいいね!」と、新たな発見があったようです。
▲①イソカニダマシ(左のカニのような生き物。ヤドカリの仲間)とカニと魚②ムラサキクルマナマコ
③シャコ④ウデフリクモヒトデ⑤オウギガニ⑥トビ「騒がしいなぁ...」
レンジャーの仕事も体験しました。
▲レンジャーの仕事体験(看板清掃)の様子。雑巾でゴシゴシ!とてもきれいになりました。
貝殻採集もしました。たくさんの貝殻が打ち上がっているのも、この海が豊かな証拠です。
▲採集した貝の見せ合いっこ(左)。「こんなにきれいな貝があったよ!」
学校に持って帰る貝を厳選中(右)。
この海岸はウミガメもやってきます。
産卵・ふ化シーズンは終了しましたが、母ガメが産卵のために掘った穴や卵の殻は浜に残っているので、そちらも観察しました。
▲母ガメが掘った跡を観察する様子(左)と卵の殻(右)。
学校に戻ってから、採集した貝の標本と、海岸で見つけた生き物の地図を作りました。
授業の最後は一人ずつ子どもレンジャー認定証を授与しました!
▲認定証授与式の様子。
また、今年も神山小学校でふるさと先生として授業をする機会を頂きました。
ふるさと先生授業は、神山小学校の学校自由参観週間における授業の一コマで、地域で活動する人を講師に招き、話を聞いたり物作り体験をしたりし、保護者や地域の方は自由に授業を参観することができます。
私たちは昨年から4年生のふるさと先生授業に呼んで頂いています。
授業では、児童が作った海岸の生き物地図を使って生き物どうしのつながりを学びました。
▲班ごとに作成した生き物どうしのつながり。
生き物とそのエサになる生き物を糸でつなぎました。一見関係なさそうな生き物どうしも、複雑に関わり合っていることが分かりました。
今年度の出前授業も無事終了しました。学校の先生方には大変お世話になりました。
ふりかえると、屋久島の自然の豊かさゆえに「あれも見せたいこれもやりたい!」と授業ネタが尽きず、授業時間内にプログラムを収めることに苦労するという、贅沢な?悩みもありました。
屋久島は本当にすごい環境だなぁと改めて実感しています。
しかし、このような日本を代表する素晴らしい自然や世界レベルの自然があるのに、屋久島の自然のことを知らない子や、自然と触れ合う機会が少ない子が多いのが現状です。
この貴重なフィールドを生かして、これからも屋久島の自然に興味関心をもってもらえるような授業に取り組んでいきたいと思います(^^)