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九州地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記

今年のくじゅう子どもパークレンジャーは「草原体験学習」 【くじゅう地域】

2017年08月10日
くじゅう 小泉 敦

皆様、こんにちは。

夏休みも後半になりましたが、毎日、暑い日が続きますね。

くじゅうでは7月末の夏休み前半に環境省主催の「くじゅう子どもパークレンジャー」として、

1泊2日のキャンプを久住(くじゅう)高原の沢水(そうみ)キャンプ場にて開催しました。

子どもパークレンジャーとは、小学生を対象に、国立公園の保護や管理、調査などをしている環境省の「レンジャー」の仕事を体験してもらい、自然保護や環境保全の大切さを伝える環境教育活動です。

毎年テーマを決めて実施しており、今年のテーマは「草原」。

阿蘇くじゅう国立公園の重要な要素の一つである草原について、子どもたちに体験してもらい、地元の草原の成り立ちや、そこに生きる生き物などを学習しました。

竹田市の4年生から6年生の18名が子どもパークレンジャーとし、普段はあまり入ることのない草原を歩いて、観察し、体験学習しました。

1日目は開会式後に早速、草原を歩きます。

一見、同じように見える草原も、実は管理のやり方や目的によって様々な種類があります。

歩いてみると3種類の草原があることがわかりました。

① 放牧地(牛が草を食べる事によって草原が保たれている)

② 牧草地 (畑の採草地で人工の草原)

③ 自然採草地 (1000年以上昔から続く採草地、野焼きを年1回と草の刈り取りを年1回する草原)

それらの草原を歩きながら、講師の先生から「今日歩いてきた草原は同じように見えて、実は色々な種類の違う草原なのだよ」という話に、子どもたちは興味深そうに聞き入っていました。

また草原近くの森を歩いた際には、その場所が以前は野焼きをしていて草原であったことや、現在は野焼きが行われなくなり森になってしまったことを学びました。

そもそも草原は野焼きをして、人が手を入れないと森になってしまいます。

阿蘇くじゅう国立公園の草原は人が毎年、野焼きをする事で存在していています。

くじゅうの草原は、長い間、人間によって維持されているのです。

 

       ▲放牧地の草原                ▲芝歩道を歩く  

 

     ▲畑になっている採草地             ▲昔から続く自然の採草地

 

2日目の朝早くに、前日に子どもたちが仕掛けたセンサーカメラとシャーマン式トラップ(ネズミを生け捕りにするワナ)を回収しました。

残念ながら子どもたちが仕掛けたセンサーカメラには動物は何も写っていませんでしたが、1週間前にくじゅうの草原の様々な箇所にセンサーカメラを仕掛けておいた結果のデータを、子どもたちに紹介しました。カメラにはイノシシ・ウシ・キツネ・タネキ・アナグマ・シカ・キジ・アオサギなど多くの動物や鳥などが写っていました。

シャーマン式トラップでは、子どもたちは捕まえる事は出来ませんでしたが、講師の方が捕まえて、捕えたアカネズミを子ども達に見せてくれました。

また、講師の先生から、「くじゅうの草原に生きている生き物」というテーマで、生物は関連し合って生きているということの話がありました。子どもたちが熱心に学んでいたのが印象的でした。

子どもたちにとっては、自分達が生まれ育った地域の草原について、草原の成り立ちや動物の種類、そして生き物達が関連し合って生きているという事を学べた良い機会になったと思います。

◀くじゅうの草原に生きる生物の講義

最後に2日間頑張った子ども達に「子どもパークレンジャー認定証」が授与されました。

今回の子どもパークレンジャーでは「草原」をテーマに、地元地域の草原の成り立ちや種類、草原に生きる生き物などを学習しました。

子どもたちが、この2日間で自分達の地域の草原について、「くじゅうの草原について新しく知ることが出来た。このくじゅうの草原を大切に守りたい、またこの草原の事を知らない友達に伝えたい。」などの感想が発表されて、とても意義がある充実した子どもパークレンジャーだったと思います。

参加した子どもたちの中から、国立公園の自然を知って、守っていきたいと思える人、行動する人が一人でも多く出て来てきてくれたら、いいですね。