アクティブ・レンジャー日記
自然に親しむ集い~川の水と生き物調査隊~【屋久島地域】
2017年08月05日みなさん、こんにちは!
屋久島自然保護官事務所の水川です。
7月30日(日)に、自然に親しむ集い~夏休み自由研究!川の水と生き物調査隊~を開催しました。
自然に親しむ集いは、環境省、屋久島町、(公財)屋久島環境文化財団共催の、屋久島町民を対象とした自然に親しむための行事です。
今年度第一回目は、夏休みの自由研究のテーマにもなる小中学生を対象にした川の調査です。
屋久島は雨が多く、川も多いです。
各集落内や堺には大小様々な川が流れていて、島全体で約140もの川があるそうですよ。
屋久島の方にとって、きっと川は身近な存在でしょう。
そんな身近な川の水はきれいなのでしょうか?
生き物にとって住みやすい水なのでしょうか?
小瀬田(こせだ)集落を流れる男川(おとこがわ)の水質を、生き物とパックテストで調べてみることにしました。
はじめに、自然の中にある大きな水の流れ(循環)について解説しました。
私たちが生活で使う水は、川から取ってまた川や海に流しています。
川を流れ海にたどり着いた水は蒸発して雲になり、雨となってまた川に流れてきます。
このように、自然の中には大きな水の循環があって、私たち人間や生き物もこの水の流れの中で生きています。人と川は深い関係があるのです。
▲解説の様子。
このお話しの後、待ちに待った川での活動がスタートしました!
▲川に入る様子。
河口から上流に移動して、まずは川の流速を測定しました。
流速は、3mのヒモにフィルムケースなど水に浮く物をくくり付けたもので計ることができます。
水面にウキをつけた瞬間からウキが流れてヒモがピンと張るまでの時間を計測します。
▲流速を測定する様子。
結果は、ウキが3m流れるのに24秒かかりました。
つまり流速は、300㎝÷24秒=12.5㎝/秒で、川の流れは「遅い」ということが分かりました。
続いて生き物採集をしました。
▲生き物採集の様子。大人も子供も夢中になって生き物を探しました。
川での活動が終盤にさしかかった頃、ついに子供達は全身水に浸かって泳ぎだしました!
▲本当はこれが一番やりたかったのかもしれませんね~(^^)
採集した生き物は、バットや水槽に移して観察しました。
エビ、カニ、ハゼ、ボラの稚魚などの大きな生き物や、トビケラやカワゲラなどの小さな水生昆虫がたくさん捕れました。
生き物によっては、その存在から水の汚れを判定することができます。
判定するときに使う生き物を「指標生物」といいます。
▲指標生物。
採集した生き物の中から指標生物を探し、数を数えてみました。
▲指標生物を観察する様子。
結果は、きれいな水に住む指標生物が多く、この川はきれいな水と判定されました。
さらに、パックテストを使って化学的に水質を調べてみました。
パックテストは、チューブの中に薬品が入っており、川の水と薬品を混ぜることで水の色が変化するので、その水の色と見本の色を見比べて水質を測定することができます。
▲パックテストで水質調査する様子。
パックテスト調査の結果、この川の水質はきれいな水でした。
今回の活動では生き物とパックテストによる水質の調査方法を知ってもらいました。
そして、男川はきれいな水が流れており、きれいな水にしか住めない生き物を含めたくさんの生き物が住んでいることが分かりました。
他の川ではどうでしょうか?
同じ川でも、日や時間帯、上流と下流で違うかもしれません。
また、もし川の水が汚れてしまうとどんなことが起きるでしょうか?
どうすれば川が汚れないでしょうか?
このように、一つの川を調べてみると、色々な考察ができて発展もあります。
自由研究にとどまらず、自然への関心を高めるきっかけになればうれしいです。
みなさんも夏休みを利用して近くの川に遊びに出かけてみてはいかがでしょうか(^▽^)
~★環境省アクティブレンジャーパネル展開催のお知らせ★~
環境省九州地方環境事務所では、九州の美しい自然や現在生じている問題、自然環境保全のための活動などを九州で様々な活動に取り組むアクティブレンジャーの視点から紹介するパネル展を開催しています。
7月20日(木)からアクティブレンジャーが配置されている九州10地区で開催中です!
多くの方のご来場をお待ちしております!
▲屋久島会場(屋久島世界遺産センター)
▲チラシ
※詳細はコチラ↓
【九州地方環境事務所HP】
http://kyushu.env.go.jp/pre_2017/29_1.html
※屋久島会場の詳細はコチラ↓
会場:屋久島世界遺産センター
期間:7月20日(木)~8月31日(木)
時間:9:00~17:00(入館は16:30まで)
休館:無休
※入場無料!
【屋久島世界遺産センターHP】