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九州地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記

セミ羽化自然観察会【石垣地域】

2017年07月25日
西表石垣国立公園 アクティブレンジャー 仲本

7月に入ってようやくクマゼミが盛大に鳴きはじめ、真夏のシーズンがやってきたなと感じる季節になりました。気象台の観測記録によると、今年は平年値に比べて石垣島のクマゼミの初鳴きが17日も遅れたそうです。

さて、今回は「セミ羽化自然観察会 ー 親子で羽化の神秘を感じよう ー 」と題して、石垣市中央運動公園内を散策して、セミの羽化や身近なセミについて学び、自然に親しんでもらおうと観察会を実施しました。

はじめに公園内の木にあるクマゼミの抜け殻探しをみんなで行い、下見の際は、なかなか見つけることができませんでしたが、観察会ではあちらこちらでクマゼミの抜け殻を発見することができました。子供たちも夢中になって採っていました。

▲抜け殻さがしの様子

室内で、みんなで採ったクマゼミの抜け殻のオスとメスの判別調査を行いました。みんなは、採ったクマゼミの抜け殻の手に取り、虫眼鏡を使ってしっかり判別し、オスの抜け殻が多い結果となりました。ちなみに、セミのオスとメスを判別する方法は、抜け殻のおしりの先にある2本の縦線が入っていればメス、入っていないものがオスになります。

▲抜け殻のオスメスを分けている子供たち

今回、なぜオスの抜け殻が多かったのでしょうか?それは、セミの羽化する時期がオスとメスにはズレがあるからです。なぜズレがあるかというと、オスは、メスをアピールするために鳴きますが、羽化をして数日間は鳴くことができないようです。そのため、オスが先に羽化をすることで、オスはアピールする準備期間ができ、メスと出会える機会が増えるからだと考えられています。なので、今回は初鳴きが記録されて間もない時期であったことも関係して、オスが多かったのかと推測されます。

▲セミの成虫を観察(メス)

今年はクマゼミの発生が遅かったこともあり、なかなかクマゼミの幼虫を見つけることができませんでしたが、1個体だけ地中から出てきて樹木を登っている幼虫を発見することができました。羽化するまで少し時間がかかってしまうこともあり、残念ながら、羽化する様子まで観察することはできませんでしたが、子供たちは「頑張れー」と応援しながら、セミの幼虫をじっくり観察していました。

▲セミの幼虫が樹木を登っている様子を観察する子供たち

身近な昆虫でありながら、意外に知られていないクマゼミの世界をみなさんで観察し、身近に暮らしている場所にも一生懸命に生きている生き物の神秘を感じて頂きました。また、石垣島のヤエヤマヤシ群落にのみ生息しているもっとも絶滅するおそれの高いイシガキニイニイというセミの紹介を行うと、身近にこんなセミがいたんだと驚いていた子供たちが印象的でした。

参加したみなさんから「セミについて知っているようで知らないことばかりで、身近な自然、昆虫から発見することが多かったです。子供たちと共に学ぶことができて、いい経験となりました。」と感想を頂き、自然の大切に思う気持ちを育んで頂いた観察会となりました。