九州地域のアイコン

九州地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記

H29年度パークボランティア活動初め

2017年05月02日
くじゅう 大島 将貴

くじゅう管理官事務所ARの大島です。

4月からくじゅう管理官事務所にて勤務することとなりました。

このAR日記を通して阿蘇くじゅう国立公園の様々な魅力を伝えていきたいと思います。

初めての記事となります今回は、423に行ったくじゅうのパークボランティアの活動について御紹介します。

そもそもパークボランティアってなに??

と思われた方も多いと思います。

パークボランティアとは国立公園の様々なことをお手伝いしてくれるボランティアさんのことです。パークボランティアとして環境省に登録し、様々なことをお手伝いしてもらっています。

今回の活動は、男池の登山口から黒岳、平治岳に向かう途中にある「かくし水」という水場の竹桶を新しいものに取り替てきました。

本日の作業メンバーはパークボランティア(以下PV )5名、くじゅう管理官事務所2名の計7名。

天気は日本晴れといってもいいほどの快晴です。きれいな青空をバックに生命力みなぎる木々達。

いざ出発。

今回の活動は竹桶の修繕ですが、くじゅうPVの方たちは、ただ山に行き修理して帰るだけでは終わりません。

くじゅうPVの方々は山の楽しみ方を知る達人といっても過言ではありません。

みなさん大変植物に詳しい方揃い。詳しいだけではなく、本当に気持ちよく自然とふれ合います。

そんなメンバーでの道中は、誰ともなく植物の観察会が始まります。

私はというと、野菜や、花屋さんで売られている花、道に咲いているのは「雑草」という程度の植物の知識。

でも本当は「雑草」なんて一つも無いんですね。

野に咲く一つ一つの花を紹介し、匂いや色を楽しみ、山での遊び方を教えてくれます。

私には色や形、香りでしか見えていない風景が、みなさんにはたくさんの個性や、友達の様に見えているのでしょう。

ちなみにこちらはキツネノカミソリといってお盆頃に花を咲かせるそうです。

いつか私にも今とは違った景色に見える日を楽しみにしながら少しだけ今回出会った草花をご紹介します。

No.1ヒトリシズカ

花言葉は「静謐(静かで安らかなこと)」「隠された美」。

見ているだけで安らかな気持ちになります。この葉に包まれながら花が見える様子などまさに隠された美ですね。名前がヒトリシズカなので一人静かに咲いているのかなと思っていたのですが、花穂が一本立っている様からきたようです。しかし、ひとりで咲かずとも静かな美しさを見せてくれます。

No.2 タチツボスミレ

スミレはたくさんの種類があり見分けるの大変ですが、葉がハート型なのが特徴の一つです。

淡紫色が綺麗。

No3シロバナエンレイソウ

綺麗な花も魅力ですが、根茎は中国では胃腸薬としても使われています。

No4アミガサタケの仲間

こちらは花ではないですが、変わった形のキノコを発見しました。この仲間は日本ではほとんど食用の歴史はないのですが、ミネソタ州(アメリカ)では州のきのこになるほどポピュラーなきのこで、ヨーロッパでは食用として人気があるようです。

植物観察会をしながら歩いているとあっという間にかくし水に到着。

現状ではコケが生えこれも風情はありますが、桶から水が流れてきません。

早速、水の取り口を決め準備した竹と交換。

中々勾配がつかずうまく流れてくれません。そこで苔を使い上手く水を誘導し、水の流れを作ります。昔はログハウスを建てる際に木と木の間を埋める際にも使われていた苔ですが、今回も大活躍です。

まだ水量が足りないので奥からもう一本渡します。交差部分を加工し完成。

BEFORE

AFTER

しっかりと水が流れています。登山者の方も早速利用されていて笑顔がこぼれます。

お昼ご飯には、新緑の春の景色の中で、お手製のイタドリやタケノコの煮物など春の食をいただきました。季節の山野草を食べる楽しみは一手間かかることが多いですが、旬のものは本当に心も体も元気にしてくれます。

下山後、登山口ではヤマブキが迎えてくれました。

私の好きなヤマブキ色のヤマブキを人生で初めて見ることができ思わず夢中でシャッターを切ります。

色の美しさもさることながら、春の山は生命力に満ちていて素晴らしい活動となりました。

最後はヤマザクラに見送られ本日の活動終了。

今日はPVの方と共に山を歩き、自然と遊ぶということは、小さき声に耳や目を傾けることから始まるのかなと思いました。何か人生にも通ずるようですね。

また来年も山のあちこちで綺麗な花を咲かせてくれるように、今回は野焼きと重なり参加できなかったPVの方も含め、みなさんと活動内容協議しながら今年度も様々な活動を実施していきたいと思います。