アクティブ・レンジャー日記
ケガをしたアマミノクロウサギを発見!
2017年04月27日うがみんしょ~らん。奄美野生生物保護センターの木元です。
奄美野生生物保護センターには毎年60件前後の
アマミノクロウサギの死亡個体が搬入されてきます。
またごくまれに、まだ生きている状態で保護されることがあります。
今回はなんと、奄美野生生物保護センターの職員が調査中に
ケガをしたアマミノクロウサギに出くわし、保護しました。
発見したのは3月27日(月)夜20時30分頃、
アマミヤマシギのセンサス調査(奄美AR日記3月24日「アマミヤマシギ調査!」参照)中のことでした。
ヤマシギを探すために前方をライトで照らしながら車をゆっくりと走らせていると
突然、林道の脇から車の真ん前に向かって、1匹のアマミノクロウサギが滑り出てきました。
車の窓から顔を出してのぞくと、地面をごろごろと転がり回っており、
さらに悪いことに、顔のあたりに血がついているのが見えました。
急いで車を降りて駆け寄ると、首の頬から首にかけての出血がひどく、
荒い息づかいで苦しそうにもだえています。
◆発見直後、苦しそうに地面を転がりまわっていた
◆左の頬から首にかけて特にひどく出血している
これはもう、だめかもしれないと思いながら見守っていると、
少しして様子が落ち着いてきたので、一か八か、動物病院へ連れて行くことにしました。
◆発見から少しした時の様子
急いで山から下ると、ゆいの島どうぶつ病院の伊藤圭子獣医師が発見地点と病院との
中間地点まで駆けつけてくださり、ケガをしたアマミノクロウサギをなんとか病院へ
搬送することができました。
ケガの様子から、おそらくネコに襲われたものだということがわかりました。
◆伊藤獣医師へ無事に受け渡した
奄美大島ではつい先日も、地元の研究者により巣立ち間近のアマミノクロウサギが
ネコに襲われる瞬間の映像が撮影されたばかりです。
本来は山奥にいないはずのネコが、島にもともと暮らす生き物をおそっています。
人が持ちこんだ動物や植物は、場合によっては本来の地域の生態系に大きなダメージを与えます。
島の大切な独自の自然を後世へ残し続けていくためには、行政や地域住民が一丸となって
こうした問題と向き合っていかなければなりません。
奄美野生生物保護センターでは、山でくらすネコを増やさないために
ペットの適正飼育を呼びかけています。ご協力ください。
◆犬やねこを飼うときは、お家の中で最期まで責任を持って飼うようにしましょう。
◆ペットの確実な身元証明になるマイクロチップを装着しましょう。
また、ケガや死亡したアマミノクロウサギなどを見つけた際は
◆奄美野生生物保護センター(電話:0997-55-8620)までお問い合わせください。
24時間対応しています。