アクティブ・レンジャー日記
ヤマネコ山へ帰る
2017年03月10日みなさん、こんにちは。西表自然保護官事務所の関東です。
先日、島内で鶏小屋へ侵入し救護したイリオモテヤマネコを放獣しました。今回はその顛末の一部をご紹介します。
集落内で鶏を飼育されている方から西表野生生物保護センターへ「禽舎内にヤマネコがうずくまっている」と連絡が入りました。そこで、職員が現場へ急行し舎内へ侵入していたヤマネコを捕獲しました。
鶏小屋に侵入したヤマネコと頭部の擦り傷の様子(ヤマネコは沈静状態です)
本来であれば、その日のうちに帰したいところでしたが、ケガをしていたので、診察をするために一時収容しました。
放獣時の様子:昨年の4月とモニタリングカメラで撮影時の様子:今年の2月
じつはこの個体、約1年前にも別の理由で救護されており、その時もケガをしていたためセンターへ収容され発信機を付けて放獣しています。モニタリングのカメラには元気で傷の治った姿が写っていました。・・・が、今度は鶏小屋に侵入し御用とあいなりました。今回が2回目の収容となり、前回の放逐場所からはだいぶ離れた場所での救護となりました。
右まぶたにも傷があるので少し涙目
一通りの検査を終了し、傷はあるもののとくに大きな異常も見られなかったため数日の保護で放せる運びとなりました。
放獣場所までヤマネコを運び、休耕田近くの林縁で無事に放獣。元気でね!
現在、1日2回の電波発信機による追跡調査を行っています。最初のうちは集落へ近づかず周辺の山やマングローブ内をウロウロしている様子なのでひとまず安心。・・・だったのですが、ここ最近は集落内へ侵入したり裏山に潜伏していることを確認しています。また、このヤマネコ以外にも別のヤマネコが鶏を襲っているところを目撃されているため、島内で鶏を飼育されている方はご注意ください。
このようにイリオモテヤマネコは集落近くにも生息しています。鶏小屋にこぶし台の穴があると中へ侵入して襲ったり、網目が小さくても隙間から足を入れて中にいる鳥を引っ張り出したりします。一度、成功体験にあうと鶏がいなくなっても巡視ルートに組み込まれ何度でも訪れるようになります。
西表野生生物保護センターでは、「ヤマネコが鶏小屋へ侵入しないようにするにはどうしたらよいか?」等の相談も受け付けています。また、ヤマネコが侵入してしまった場合には速やかにご連絡いただけると幸いです。