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九州地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記

野草堆肥づくりのための採草・草集め ~草原に暮らすカヤネズミ発見!~【阿蘇地域】

2017年01月23日
阿蘇 山口佳子

みなさんこんにちは~!阿蘇自然環境事務所の山口です!

今回は阿蘇の草原が、人々の暮らしにどのように利用されているのか、

集草作業に参加してきましたので、みなさんにご紹介したいとおもいます。

 

(▲刈った草を大鎌で集めて運ぶ様子 photo by Yuki Iwanami 2016.12.6)

 

阿蘇の草原は昔から牛馬の放牧地として利用されたり、堆肥として農業に利用されていました。

また、茅葺き屋根の材料になるなど、草原と人の暮らしのつながりのなかで草原を維持するために危険を伴う野焼きを行ってきました。

現在は化学肥料の普及に伴い、野草堆肥の利用が減るとともに、茅葺き屋根の家もなくなるなど、

農業形態や生活様式の変化とともに草原の草の利用されなくなってきています。

農業も畜産業も後継者不足や高齢化、また兼業化により、採草や放牧が行われることなく、

野焼きや輪地切りといった草原維持の作業もされないまま放置される草原が増えてきています。

さらに、阿蘇は年間2500mmの以上も雨が降るので、草原をそのまま放置していると数年で藪(やぶ)となり、植生が推移してその後森林へと移り変わっていきます。

 

このような状況から、草原面積の減少・草原の変容が進んでいます。

 

今回は阿蘇草原シール生産者の会員の方が、土づくりの堆肥として利用している牧野へ行ってきました。

前の週に草刈りに参加し、数日そのまま天日干しさせて、この日に集草作業を迎えました。

束にして平地まで運び、マウントカッターという肥料切断機で草束を細かくしていきます。

 

(▲ダイナミックな集草風景&集めた草を運ぶ様子 photo by Yuki Iwanami)

 

(▲マウントカッターで野草を裁断しトラックに積む&カットして堆肥になる草)

 

そしてこの日集草作業の撮影のため参加していたフォトグラファーの岩波友紀さんが見つけたのは、

小さくてつぶらな瞳がとってもかわいい『カヤネズミ』!!!

(▲草原で暮らすカヤネズミ photo by Yuki Iwanami)

かや(茅)という名前の通り、阿蘇の草原等に生息している日本で一番小さなネズミです。

カヤネズミの体長は6、7cm 体重は500円玉くらいの重さ(5~7g)です。

このような稀少な生き物が暮らす草原も、採草や野焼きなど、人の手で守られています。

植物も生き物も多様な草原をみんなで力を合わせて後世へつなげていきたいですね。

 

※野生の生き物は、鳥獣保護管理法により、捕まえたり家に持ち帰ったりすることは禁止されています。

 たいせつに見守っていきましょう。