アクティブ・レンジャー日記
九州特産物リレー11月 ~おいしい温泉の恵み~ 【くじゅう地域】
2016年11月29日こんにちは。
くじゅうでは先週霧氷が観測され、霜も降りるようになり、すっかり冬です!
今回の特産物リレーでは、阿蘇くじゅう国立公園・くじゅう地域の、温泉が豊富なこの土地ならではの恵みについて紹介します。
みなさん、温泉料理といったら何を思い浮かべますか?
温泉卵?
温泉まんじゅう?
もちろんこの2つもおいしいのですが、実は江戸時代から行われている温泉を使った料理方法があります。その名も、地獄蒸し。
「地獄」といっても「あの世」のことではありません。火山地帯、温泉地などで噴煙や湯気が絶えず立ち上っている場所のことです。別府の地獄巡りは有名ですよね。
小松地獄(九重町)。地面から蒸気が出ています。卵を持って行けば蒸し卵が作れます。
地獄蒸しとはズバリ、地獄で蒸した料理のこと。
くじゅう地域には地獄蒸しのできるところがいくつかあるので、私も、家にあった食材で地獄蒸しを体験してみました!
別府・鉄輪温泉の蒸し場
今回利用したのは涌蓋山山麓の「岳の湯」という地域の共同蒸し場(熊本県小国町)。
この岳の湯、地面からもうもうと蒸気が上がっていて、地域一帯がゆけむりに包まれていました。大地のエネルギーを感じずにはいられない場所です。
岳の湯 そこかしこから湯気が吹き出ています
受付を済ませ、蒸すために必要な道具を借ります。蒸し場に食材を入れたカゴを置き、上にむしろで蓋をし、待つだけ・・・。
暖かい蒸気に当たりながらしばらく待っていると・・・・・・
10分後には蒸し卵が、30分後にはホックホクのふかしイモができました!!!
大分県特産のしいたけもぷりぷりに♪ イモはとっても柔らかくて最高でした!
手軽に体験できるのも魅力ですが、筋湯という地域(九重町)はこの地獄蒸し料理が有名です。「極楽温鶏(ごくらくおんけい)」といって、鶏まるごと一羽を地獄で蒸すのです。脂が落ち、水溶性ビタミンなどの栄養素はとじこめられるので、とってもヘルシー!
今回話を伺った方によると、筋湯では戦後の食料の少なかったときから、特別な日の「ごちそう」として食べられていたそうです。(ちなみに別府では地獄蒸しは江戸時代から食べられていたという記録があります)
極楽温鶏。鶏の中には野菜が詰まっている (写真提供:九重町)
特産「物」ではありませんでしたが、浸かるだけではない温泉の恵み、みなさんも味わってみてください!!
【くじゅうへお越しの方へ】
標高約1000mの長者原ではすでに霜が降りるようになり、天候によっては路面が凍結する季節となりました。運転の際には事前に道路情報を確認し、チェーン等の準備をお忘れなく。また登山の際はアイゼン(軽アイゼン)を忘れずに!