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九州地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記

平戸市安満岳トレッキング

2016年10月18日
佐世保 佐伯信吾

 平成28年10月2日(日)に17名の参加者とともに「平戸市安満岳(やすまんだけ)トレッキング」が開催されました。

ぎりぎりまで天候が心配されましたが、予定通り実施し事故も無く終了しました。佐世保市から集合場所である鯛ノ鼻(たいのはな)に向かう途中は濃いガスに包まれていたので天候を心配しましたが、鯛ノ鼻展望所から生月五鼻への眺望が素晴らしいのですが、今回は五島列島方面は晴れていましたが生月方面だけが雲の下。私事ですが、もう少し早く到着すれば滅多に無い素晴らしい雲海であっただろうと少々残念でもありました。

鯛ノ鼻からの展望

      

生月方面雲海   

  講師のパークボランティア副会長の邑上先生が、安満岳の地形、歴史、植物等の多分野にわたっての笑いをおりまぜながら案内をされました。中身を少し紹介します。安満岳は、この山が神道、キリスト教、仏教の重層信仰の聖地であること、平戸のお殿様が毎年1回志々伎山(ししきさん)と安満岳の通称両山巡りを2泊3日の強行スケジュールでこなしていたこと、この時使っていた道である下方(しもかた)街道を最近探しあてた事、山頂近くの二の鳥居横にある楊柳山西禅寺(ようりゅうざんせいぜんじ)の説明、このまた脇にある五輪塔のこと等のウイットにとんだ解説が更に参加者を引きつけていました。観察会風景

※参考

○安満岳の説明

この鳥居から安満岳山頂まで続く石畳安満岳は、神道、キリスト教、仏教の重層信仰となった隠れキリシタンの聖地です。また、自然の聖地でもあることから、秋の一般向け自然観察会を実施しました。

輝石安山岩が主体の北部に有る本島最高峰の安満岳(536.4m)。特に西側の生月島からは、原生林が広がる雄大なメサ(残丘)地形を眺める事が出来ます。

鳥居をくぐり山頂へ山頂までアカガシを主体とする原生林で覆われた石積みの階段は、荘厳な雰囲気があります。安満岳山頂岩場と西側に開けた鯛ノ鼻自然公園からの生月方向の展望は雄大で、西海国立公園の平戸北部の名所となっています。(立ち入り防止柵があるので注意!)

この山の原生林、岩場及びその周囲には貴重な植物が生育していて、平戸の植物のホットスポットとも言え、特に春秋のトレッキングは十分楽しむことが出来ます。

ヤマホトトギスウスヒラタケ(食用キノコ)

マルバオウセイ  

○春日地区の説明

平戸島は長崎県の西端にあり、その中でも西側の海岸にある春日地区。その山間には広大な棚田が広がっています。この風景は400年前からほぼ変わることなく、今もそのまま残っています。

春日は「かくれキリシタン」の伝統文化を持つ地域で、平成22年2月に国の重要文化的景観に選定されました。

安満岳からの春日棚田春日集落にある棚田はまだ観光地化されてはいないので、まさに日本の里山の原風景を見ることができます。安満岳から豊かできれいな水が流れていて(春日川)、棚田の稲作に利用されています。海から標高200メートルほどの山間までずっと棚田が連続しています。田植えの後の棚田は、緑が映える美しい光景になります。

「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」は世界遺産の登録を目指していて、春日集落はその一つである「平戸島の聖地と集落」を構成する大切な地域です。

平戸島はフランシスコ・ザビエルが布教を始めた場所であり、日本でキリスト教が最初に伝来した場所でもあります。しかし、16世紀末以降は厳しい禁教政策が行われました、平戸では多くのかくれキリシタンがその信仰を守ってきました。春日集落の真ん中にある「丸尾山」の山頂にある石祠のあたりからは、キリシタン墓地が発掘されました。