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九州地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記

九州特産物リレー 10月 ~地トウキビ~【阿蘇地域】

2016年10月31日
阿蘇 山口佳子

みなさん、こんにちは!

10月7日21時52分に中岳第1火口で噴火、8日1時46分には爆発的噴火が発生し

阿蘇山噴火規制レベルが3にひきあげられました。

今回の噴火で噴石や降灰の影響を受け、農業や観光に影響が出た地域も一部ありましたが、

噴火後も草千里まで行くことができ、変わらぬ美しい景色を魅せてくれています。

わたしも阿蘇で暮らしてから中岳からの煙を見るのが日課となっていますが、
実際に噴火を経験し活火山のパワフルさを肌で感じる貴重な体験となりました。
阿蘇はほんと、地球は生きている、ということを実感できる土地ですね。

はてさて、お題の九州特産物リレーですが、バトンが霧島錦江湾国立公園から渡されましたので阿蘇から、在来種の地トウキビをご紹介したいと思います。

 

地トウキビは阿蘇で昔から食べられていたトウモロコシです。

軒先に吊して保存食として焼いて食べたり、粉にしてご飯と混ぜて炊いたりしていました。
スイートコーンのような甘さはなく、ほのかな甘さと実が固いのが特徴です。
噛むとじんわりうまみを感じる、素朴なおいしさの地トウキビ。
時代の移り変わりとともに、スイートコーンが主流となり、地トウキビを栽培する農家さんは少なくなりました。現在は、主に飼料用として一部の農家さんが育てています。

▼下の写真のように地トウキビの実を効率的に取る手動の機械も昔は使われていました。

参考写真:阿蘇地域世界農業遺産推進協会(http://www.giahs-aso.jp/

  

この地トウキビは今が旬を迎え10月22日(土)に阿蘇草原再生シール生産者の会(草原の再生を目的とし、野草堆肥を使ってお野菜を育てる農家さんの団体)が阿蘇地域世界農業遺産の助成を受け、

地トウキビ収穫農業体験を阿蘇市坂梨地区で開催しました。

 

阿蘇で繋がれてきた、貴重な在来種の地トウキビの種を7月にみんなで蒔き、すくすくと大きく育ち

たわわに実っていたのですが、、、

なんと!!!収穫前にイノシシにすべて食べられてしまいました!!!

 

広い畑に地トウキビが、、、なんにもない!!!

  

台風や噴火を乗り切り、農家さんが一本一本大切に育ててきた地トウキビ。

このように動物に全て食べられてしまいとてもとても残念でしたが、

農家の方の日頃の努力をまたひとつ知ることができる機会にもなりました。      

      

   (▲イノシシに食べられる数日前の畑。)   (▲イノシシに食べられた無残な姿の畑)

 

参加者の方たちと、イノシシに食べられた様子を見た後は、別の地トウキビ畑に移動して

美味しい地トウキビの見分け方を教わり収穫をし、その後炭火で地トウキビを焼いて食べました。

    

阿蘇の草原の野草を刈り取って堆肥にし、育てた採れたて野菜を使った阿蘇の郷土料理を

シールの会の農家の方たちが振る舞ってくれました。だご汁も野菜の天ぷらも大好評でした!
なかなか生産が少なくなってきている在来種の地トウキビ。
この日初めて口にした方も『おいしい』と笑顔いっぱいでした。

これからもつなげていきたい、魅力いっぱいの阿蘇の特産品です。 

機会がありましたら、ぜひ一度お試しください♫