九州地区のアクティブ・レンジャーが、日々の活動や地域の魅力を発信します。
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こんにちは。
やんばる自然保護官事務所の上開地です。
9月になり、真夏の強い日差しが少し和らいできましたが、まだまだ暑い日が続いています。
テレビや新聞を見ると、今年の夏は北日本や九州に大きな台風が上陸し、記録的大雨となって甚大な被害が出ていると聞いています。みなさんの地域は大丈夫でしたでしょうか。
沖縄はどうかというと、今年の夏は台風が来ませんでした。
沖縄の海にとっては台風が全く来ないのも困りもので、熱くなった表面の海水と下の冷たい海水をかき混ぜる役割を持つのが台風です。台風が来ないと海水温が熱くなりすぎて、サンゴが白化して長く続くと死んでしまいます。
今、沖縄のサンゴが至るところで白くなっているのがニュースなどで報じられていて、やんばる地域でも白いサンゴが見られています。
サンゴにとっては厳しい夏になりましたが、海の岩礁で繁殖する「アジサシ」にとっては良い年になりました。
(2016年06月01日の日記もご覧下さい。)
8月25日、今年最後の屋我地鳥獣保護区のアジサシ調査を行いました。
この時期、アジサシ達の子育ても後半に入り、巣立ちをした幼鳥が見られるようになります。今年は何羽巣立ってくれたのか...ドキドキしながら船に乗り込みます。
▲調査日の海
この日は遠い太平洋沖にある台風10号の余波で風が少し強い日でした。
風が強い日は、アジサシ達は橋桁の下などでよく休息しています。
▲古宇利大橋の下
アジサシ達はいるでしょうか...?
いました!ベニアジサシ、エリグロアジサシの成鳥です。
▲左2羽ベニアジサシ、右エリグロアジサシ
そしてその近くには、それぞれの幼鳥も確認出来ました。
▲エリグロアジサシ幼鳥
▲右:ベニアジサシ幼鳥
今年生まれの個体は、背中や翼にまだら模様があるので見分けられます。
他の岩礁でも両種の幼鳥がみられました。
ベニアジサシは全て巣立ちをしていますが、エリグロアジサシはまだヒナがいて子育て中の岩礁もありました。
釣りやレジャーで岩礁に行く際は、お気をつけください。
▲給餌を受けるベニアジサシの幼鳥
巣立った後もしばらくは親鳥から小魚をもらいます。
▲小魚をもらうエリグロアジサシのヒナ
今回の結果をまとめると、この日確認できた幼鳥の数は、
ベニアジサシ幼鳥19羽、エリグロアジサシ46羽でした。
この数は、調査を開始した2006年以来、最も多い数です!
今年の成功の要因は、
台風が来なかったことに加えて、釣り人の影響を最小限に抑えられたからだと思っています。
屋我地ひるぎ学園とおこなったデコイや看板の設置を、テレビや新聞などに沢山とりあげてもらったおかげで沢山の人に周知され、釣りやレジャーに来た人が協力してくれたのだと思います。
ベニアジサシのデコイ設置の結果は、残念ながらカラスの影響で繁殖を誘因する事は出来ませんでしたが、別の岩礁で繁殖を成功させてくれました。
これまでの活動のおかげで今後の課題も見えてきました。
今年、巣立った幼鳥たちは10月になると親鳥と共に越冬地へ帰っていき、繁殖するために戻って来るのは2年後です。
これからも、アジサシたちにとって安心して子育ての出来る屋我地であるように、地域の皆さんと活動していきたいと思います。
みなさんの住んでいる地域の海にも、子育てをする鳥たちがいるかも知れません。
遊びに行く際は、優しく見守ってもらえたらと思います。
今月の一枚「アジサシのにぎわう岩礁」
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アクティブ・レンジャーとは、自然保護官の補佐役として、国立公園等のパトロール、調査、利用者指導、自然解説などの業務を担う環境省の職員です。管内には、瀬戸内海、西海、雲仙天草、阿蘇くじゅう、霧島錦江湾、屋久島、慶良間諸島、西表石垣国立公園、やんばる国立公園、奄美群島国立公園があります。
こんにちは。
やんばる自然保護官事務所の上開地です。
9月になり、真夏の強い日差しが少し和らいできましたが、まだまだ暑い日が続いています。
テレビや新聞を見ると、今年の夏は北日本や九州に大きな台風が上陸し、記録的大雨となって甚大な被害が出ていると聞いています。みなさんの地域は大丈夫でしたでしょうか。
沖縄はどうかというと、今年の夏は台風が来ませんでした。
沖縄の海にとっては台風が全く来ないのも困りもので、熱くなった表面の海水と下の冷たい海水をかき混ぜる役割を持つのが台風です。台風が来ないと海水温が熱くなりすぎて、サンゴが白化して長く続くと死んでしまいます。
今、沖縄のサンゴが至るところで白くなっているのがニュースなどで報じられていて、やんばる地域でも白いサンゴが見られています。
サンゴにとっては厳しい夏になりましたが、海の岩礁で繁殖する「アジサシ」にとっては良い年になりました。
(2016年06月01日の日記もご覧下さい。)
8月25日、今年最後の屋我地鳥獣保護区のアジサシ調査を行いました。
この時期、アジサシ達の子育ても後半に入り、巣立ちをした幼鳥が見られるようになります。今年は何羽巣立ってくれたのか...ドキドキしながら船に乗り込みます。
▲調査日の海
この日は遠い太平洋沖にある台風10号の余波で風が少し強い日でした。
風が強い日は、アジサシ達は橋桁の下などでよく休息しています。
▲古宇利大橋の下
アジサシ達はいるでしょうか...?
いました!ベニアジサシ、エリグロアジサシの成鳥です。
▲左2羽ベニアジサシ、右エリグロアジサシ
そしてその近くには、それぞれの幼鳥も確認出来ました。
▲エリグロアジサシ幼鳥
▲右:ベニアジサシ幼鳥
今年生まれの個体は、背中や翼にまだら模様があるので見分けられます。
他の岩礁でも両種の幼鳥がみられました。
ベニアジサシは全て巣立ちをしていますが、エリグロアジサシはまだヒナがいて子育て中の岩礁もありました。
釣りやレジャーで岩礁に行く際は、お気をつけください。
▲給餌を受けるベニアジサシの幼鳥
巣立った後もしばらくは親鳥から小魚をもらいます。
▲小魚をもらうエリグロアジサシのヒナ
今回の結果をまとめると、この日確認できた幼鳥の数は、
ベニアジサシ幼鳥19羽、エリグロアジサシ46羽でした。
この数は、調査を開始した2006年以来、最も多い数です!
今年の成功の要因は、
台風が来なかったことに加えて、釣り人の影響を最小限に抑えられたからだと思っています。
屋我地ひるぎ学園とおこなったデコイや看板の設置を、テレビや新聞などに沢山とりあげてもらったおかげで沢山の人に周知され、釣りやレジャーに来た人が協力してくれたのだと思います。
ベニアジサシのデコイ設置の結果は、残念ながらカラスの影響で繁殖を誘因する事は出来ませんでしたが、別の岩礁で繁殖を成功させてくれました。
これまでの活動のおかげで今後の課題も見えてきました。
今年、巣立った幼鳥たちは10月になると親鳥と共に越冬地へ帰っていき、繁殖するために戻って来るのは2年後です。
これからも、アジサシたちにとって安心して子育ての出来る屋我地であるように、地域の皆さんと活動していきたいと思います。
みなさんの住んでいる地域の海にも、子育てをする鳥たちがいるかも知れません。
遊びに行く際は、優しく見守ってもらえたらと思います。
今月の一枚「アジサシのにぎわう岩礁」