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九州地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記

夏休みは五島の海で遊ぼう! 「溶岩海岸の生きものさがし」

2016年08月04日
五島 竹下洋子

 こんにちは!五島自然保護官事務所の竹下です。7月31日(日曜)の午前中、鐙瀬(あぶんぜ)溶岩海岸で開催された「溶岩海岸の生きものさがし」にスタッフとして参加しました。溶岩海岸へと続く遊歩道には直径1cmほどの穴がいくつも空いています。これは、ニイニイゼミの幼虫が土の中から出てきた穴で、近くの樹木に小さくて丸い抜け殻が残されていました。

  

左:ニイニイゼミの幼虫が土の中から出てきた穴

右:全身に泥をかぶっているニイニイゼミの抜け殻

  

 鐙瀬溶岩海岸は鬼岳噴火による溶岩流の上に海が進出して形成された海岸で、黒い岩肌は奇石・怪石の変化に富み、7kmにわたって続いています。対馬暖流の影響で海岸一帯が年間の平均気温17度の温暖な無霜地帯で、暖地性の植物が繁茂しています。海岸の南側には赤島・黄島・黒島を見渡すことができ、足元に目を向けると小さく可憐なネコノシタやノヒメユリ等が咲いていました。

  

H28.4現在、3島とも有人島

  

左:ザラザラとした葉の触感から名づけられたネコノシタ(別名:ハマグルマ)

右:九州・沖縄に自生し、夏に赤橙色の花を下向きに咲かせるノヒメユリ

  

 タイドプール(潮だまり)とは、溶岩海岸などの岩礁海岸や干潟の潮間帯において、干潮時に溶岩などのくぼみに海水が取り残されてたまったところを呼びます。鐙瀬溶岩海岸には大小様々なタイドプールがありますが、今回は遊歩道から比較的容易に行くことができ、子供でも安心して楽しめる場所で活動しました。講師からナマコが敵に攻撃されたときに放出する白いネバネバとした糸状の内臓組織(キュビエ器官)の説明を受けると、生命の不思議さに参加者はびっくりしている様子でした。

  

足元を確かめながら溶岩海岸を進む参加者

  

 

左:講師から生きものの生態について説明

右:網や箱メガネで水中の生きものを観察

  

溶岩海岸で記念撮影

  

 1時間ほどタイドプールで活動した後、ビジターセンターへ移動します。水槽で一時持ち帰った生きものを観察しながら、スタッフが事前に用意した鐙瀬溶岩海岸の成り立ちや生きものに関するクイズに挑戦です。

  

左:生きものを観察しながらクイズに挑戦

右:実際に触って貝を観察

  

  

溶岩海岸で見つけた生きものたち

  

 参加者は小学校低学年の子供さんが多く、夏休みの宿題に役立てようと楽しみながら学んでいました。島に住みながらも、身近にある自然の豊かさを知らなかったという保護者の声も聞けたので、自然に親しむきっかけになったのではと感じました。皆さんも鐙瀬溶岩海岸の生きものたちを探しにきませんか!