アクティブ・レンジャー日記
グリーンイグアナのテレメトリー調査【石垣地域】
2016年06月10日こんにちは。梅雨の時期に入り、最近の石垣島はジメジメとした湿気の高い日が続き、カビの発生が心配な季節になりました。
さて、今回はグリーンイグアナのテレメトリー調査について報告したいと思います。
▲イグアナのテレメトリー調査の様子
グリーンイグアナは、最大で全長1.8mにもなる大型のトカゲです。
ペットが逃げだしたり、飼いきれなくなって飼い主が放したりするなどしたのか、石垣島では1994年ごろから野生化したグリーンイグアナが目撃されるようになりました。現在、環境省では重点対策外来種に指定し、対策の必要な種になっています。
グリーンイグアナは、花や果実などの植物質を好んで食べますが、幼体のうちは昆虫なども食べるため高密度に増えてしまうと、植生や昆虫類に影響が及ぶ可能性があります。また、野生化した個体は気が荒く、捕まえようとすると尻尾で叩いたり、鋭い爪でひっかいたり、噛みつくこともあるので、発見した場合は、近づいたり捕獲しようとはせずに、石垣自然保護官事務所(TEL:0980-82-4768)までご連絡ください。
▲グリーンイグアナ
イグアナのメスは繁殖期となる4~6月頃、地面を歩き回り、産卵しやすい砂地に穴を掘って、約50個もの卵を地中に産み落とします。このため、繁殖期のイグアナのメスは目撃例が多くなりますが、繁殖期以外の時期は目撃する機会も少なくなり、日頃どこで、どのように行動しているのかがわかっていないことも多くあることから、テレメトリー調査を今年の3月から行っています。
今回行っているテレメトリー調査とは、主に海岸沿いや海岸林の中を歩き、発信器の付いたグリーンイグアナを探し、どこにいるのかを特定してポイントに落とす調査です。定期的に調査を行うことで、グリーンイグアナの行動範囲や集中的に利用している場所、好む環境を知る基礎的な情報を得ることができます。こうした情報がわかることで、効果的な防除対策のヒントが得られるのではと考えています。
調査では、発信器の付いた個体を広いエリアで探すため時間がかかるうえ、日中の真っ白な海岸は、照り返しがすごく日差しもガンガンに照りつけるため非常に暑く、ものの20~30分で汗だくになります。海岸を歩いていると、イグアナのものと思われる足跡が数カ所で見つかりました。おそらく産卵のために歩き回るメスの足跡だと思います。足跡は、一本線を引いたような尻尾の跡ができ、その両側に足跡が残っているのが特徴です。
▲イグアナの足跡(赤い矢印部分が一本線に伸びた尻尾の跡)
調査中に希少なキシノウエトカゲにも出会うこともあります。キシノウエトカゲは、八重山諸島や宮古島に分布しているトカゲ類の中で最大のトカゲで約40センチにもなります。最初に見たときは、その大きさにびっくりしました。天気の良い日は、ひなたぼっこをしている様子を目にすることができ、かわいらしい顔をしています。
▲落ち葉の中から顔を出すキシノウエトカゲ
最近はハイアワユキセンダングサ(外来種)の花のまわりで、たくさんのオジロシジミが飛び回っています。オジロシジミをよく見てみると、羽の後ろに2つの突起物が付いています。その2つの突起物は、触角に見立てた羽、羽の付け根の丸いまだら模様を目に見立てて、天敵の目をあざむくようにできているようです。身近な生き物でも観察してみることで、生きるために必要な知恵が備わっていることに気が付くことができ、とても面白いですね。また、日々の調査で面白い発見がありましたら、アクティブレンジャー日記で発信していきたいと思います。
▲オジロシジミ
調査は、まだ始まったばかりなので、これから少しずつデータを蓄積していくことで見えてくる情報を整理しながら、防除対策に役立てられるよう、今後も調査を頑張っていきたいと思います。