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九州地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記

九州特産物リレー 5月

2016年05月31日
対馬 アクティブレンジャー 山口(貴)

 

みなさん、こんにちは!

対馬の山口です。

 

九州のアクティブ・レンジャーが毎月リレー形式で日記を繋ぐ「九州いきものリレー」を

昨年度行っていましたが、今年度もテーマを変えて今月から始めることになりました!

今年度は、「九州特産物リレー」と題し、九州の各任地ならではの食べ物や工芸品など、

アクティブ・レンジャーが伝えたい特産物をテーマにご紹介したいと思います。

 

特産物の多くは、その土地の自然や歴史と関わりの深いものです。

その土地で暮らし活動するアクティブ・レンジャーだからこそ知っている魅力も見えてくるかもしれません。

 

また、昨年度まで九州のアクティブ・レンジャーは10名だったのですが、

これまでアクティブ・レンジャーがいなかった事務所にも配置され、

今年度から総勢15名となり、より広い地域の魅力をこのリレー日記で

お伝えできるのではないかと思います。

 

ぜひ最後までお付き合いください!

 

それでは、「九州特産物リレー」スタートです(^o^)

 

 

 

対馬の紹介したい魅力は、たくさんあるのですが、

その中から今回は対馬の伝統的な保存食「せんだんご」をご紹介したいと思います。

 

さっそくですが問題です!

せんだんごとは、なにからできているでしょうか??

 

▼せんだんご

 

 

 

正解は...

 

サツマイモです!

 

対馬は90%近くが山地のため、耕地が少なく、昔からたびたび飢餓に苦しんでいました。

こうした対馬の食糧難を救うため、薩摩の地から原田三郎衛門という郷士が命がけでサツマイモの苗を

対馬へ持ち帰り、栽培が広まったそうです。

 

ちなみに、平地の少ない対馬では、昔、山を切り開きその斜面でサツマイモやソバなどを栽培する

木庭作(こばさく)と呼ばれる焼畑が行われていました。現在も山の中では、畑の跡が多くみられます。

山中にあった畑はネズミ等の小動物が多く、ツシマヤマネコ(日本では対馬にのみ生息する絶滅危惧種)

にとって絶好の餌場となっており、現在では木庭作を行わなくなってしまったこともヤマネコの減少要因

の一つではないかとも言われています。

 

▲烏帽子岳から見た対馬

 

対馬で食糧難を救ったサツマイモですが、傷みやすく長期保存が難むずかしいという難点がありました。

そこで、サツマイモを長期保存するため、考案されたのが「せんだんご」だったのです!

なんと常温で数年間保存することが可能です!

 

誰が考え出したのか、いつどこで始まったのか、わかっていませんが、先人たちの知恵の結晶です!

 

収穫されたイモを水につけ、その水を何度も変えたり、イモをくだいたり、こしたりして、

発酵させながら、でんぷんだけを抽出していきます。

この過程を詳しくお話しすると長くなってしまうので、今回は省略します。

詳しく知りたい方は「対馬 せんだんご」で、ぜひ検索してみて下さい!

そのでんぷんをこぶしで握れるほどの大きさに丸めて、乾燥させたら、せんだんごのできあがりです。

 

▲乾燥中のせんだんご

 

イモが収穫される11月に作り始め、多くの工程を経て3月にやっと完成します。

できあがるまでに、千の手がかかることから、「せんだんご」と名付けられたと言われています。

 

また、冬の一番寒さの厳しい、水の冷たい時期に作業をおこなうので、指先が凍えるとても大変な作業です。

対馬は九州の離島なので、あたたかいのでは?と思われる方も多いようですが、冬には日本海の冷たい風が

吹き込み、九州本土より2~3℃ほど気温も低く、寒いのです!

 

 

そして、せんだんごはそのままでは食べられません!

水でもどして、こねて、対馬の郷土料理になります。

 

その中でもよく食べられるのが「ろくべえ」です。

 

▲ろくべえ

ぷりっぷりの触感で、おいしいですよ~!

 

魅力たくさんの対馬に、みなさんもぜひ来てみんね~♪

 

 

次回6月は、えびのの橋之口さんと佐世保の佐伯さんです!

お楽しみに~(^^)