アクティブ・レンジャー日記
カンムリワシよ、大空へ!
2016年04月01日みなさん、こんにちは!西表自然保護官事務所の関東です。
今回は、西表野生生物保護センターに先日まで保護されていたカンムリワシたちを紹介します。
今年2月に県道でカンムリワシの交通事故が2件発生しました。2羽とも一命を取留め、1羽は保護から1週間後に、もう1羽は先日放鳥することができました。
2月上旬に保護された個体は、左翼手根部(人間の手首にあたる部分)を骨折、また事故の影響なのか右翼の風切羽も診察時にぽろぽろと抜け落ちてしまいました。獣医さんに骨折部分が動かないよう翼を固定してもらい様子見となりました。
(怒っていても御飯はしっかりと食べます。)
2羽目は2月下旬に道路上であお向けに倒れて気絶しているところを保護されてきました。目立つ外傷や骨折などもないため、室内ケージにはなして様子見となりました。両個体とも自力採餌はしないもののよく食べる個体で順調に快復していきました。
治療が進み放せるようになったカンムリワシたちは、個体データを取ります。翼や尾羽の状態を記録し体長や翼長、爪の長さなどを記録していきます。
保護された2羽を比べてみると御覧の通り羽の模様が違いますね。羽の模様で、おおよその成長段階がわかります。左の個体は幼鳥の羽がまだ混じっていますが、右の個体は成鳥羽になっています。
さまざまな部位を計測し、個体識別のためにリングや翼帯(ウイングマーカー)などを装着します。
写真は、放鳥前日の両個体。調子の悪かった時期と比べれば立ち方も堂々としています。左が2月上旬に保護した個体で、右が下旬に保護した個体です。下旬に保護した個体は、特に悪い部分がなかったため、すぐに放鳥できましたが、上旬に保護した個体は骨折か所の治癒後にリハビリを行ったため放せる状態になるまで約2か月かかりました。
それぞれ、保護された場所の近くで放鳥し野生へと帰っていきました。西表島を訪れた際に見かけたカンムリワシが翼帯や金属リングを付けたら、それは何らかの原因で一度保護されている個体です。個体の生存情報も収集していますので、西表野生生物保護センターへ御一報いただければ幸いです。