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九州地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記

猪の瀬戸湿原の野焼き

2016年03月01日
くじゅう アクティブレンジャー 田中

皆様こんにちは。

228日に、別府市東山にあります「猪の瀬戸湿原」で、野焼きが行われました。

くじゅう地域では、どこよりも早い野焼きです。毎年この時期は積雪などで野焼きは3月に入ってしまうようですが、今年度は暖冬という事もあり、普段よりも早いこの時期の野焼きを実施することができました。

猪の瀬戸湿原は標高700mにある湿原で、湿原北西側には由布岳、北東側には鶴見岳を望むことができます。国道11号線のやまなみハイウェイを湯布院から別府方面へ向かった、道路沿いから湿原が一望できます。

実はこの湿原は1960年代まで放牧や採草が行われており、野焼きが行われていました。その後徐々に野焼きから手が離れてしまい、一時は人の手が全く入らなかった時期がありました。時は過ぎ、湿原が森林化し始めたことをきっかけに、「NPO法人 猪の瀬戸湿原保全の会」や、現「城島高原オペレーションズ」等が立ち上がり、平成24年の3月、最後の野焼きから実に40年ぶりに、猪の瀬戸湿原で野焼きが再開されました。その効果が近年現れ始め、サクラソウをはじめ、ヒメユリやヒゴタイ等の草原性の植物も増えてきました。

猪の瀬戸湿原の野焼きは、湿原を3つの小地区に分けて火入れをします。毎年30人以上のボランティアが集まって、事前に作業説明や安全確認についてしっかりと打ち合わせます。

火を入れる人は周囲の状況や風の方向に気を配りながら火入れを行います。

今年の野焼きは風が弱く、火が思うように走らず、去年より燃え残りが目立ちますが、こればかりはやり直しがききません。そのため野焼きを行う際は、念入りに事前打ち合わせを行い、火付けのタイミングを見計らい、環境条件によって臨機応変に立ち回らなければなりません。野焼きはとても大変な作業なのです。

△野焼き前

△野焼き後

猪の瀬戸湿原周辺にはトレッキングコースが整備されており、初心者やご家族連れでも気軽に散策できるようになっています。

皆様も、人の手によって回復しつつある猪の瀬戸湿原へ足を運んでみてはいかがでしょうか?