アクティブ・レンジャー日記
約50年ぶり!草千里で野焼き復活
2016年01月28日先日は九州各地で積雪となり、凍結などで水道管破裂による断水などで、生活に支障が出ているようですが一日も早く復旧されるように願っています。阿蘇では降雪はそれほどなかったのですが、朝方は氷点下10℃は越えたようで、日中の気温も上がらず寒い日が続きました。道路なども普通に見えても凍っていたりするので車の運転等も気をつけてくださいね。
阿蘇山の草千里ヶ浜にて、1968年以来約50年ぶりに野焼きが再開されることになり、『草千里草原再生開始式』が平成28年1月23日(土)草原保全活動センター内草原学習館にて執り行われました。
野焼き再開については、熊本県や阿蘇市、牧野組合、(公財)阿蘇グリーンストックなどで作る草千里野焼き実行委員会が主催。式典にて、蒲島知事や実行委員長の阿蘇市の佐藤市長、牧野を代表して黒川牧野の西岡組合長から草原再生に向けて熱い意気込みが語られました。
開始式の様子
集合写真
阿蘇での野焼き再開としては4例目となりますが、草千里は阿蘇を代表する観光地のひとつで、草原に入って楽しめる貴重な場所(※)でもあります。道向かいには阿蘇火山博物館やレストハウスなどが建ち並んでおり、多くの観光客が訪れます。(※他の草原は地元の方が管理しており、無断で入ることはできません)
★著名な方も草千里を訪れています★
烏帽子岳の裾野にある草千里は、約2万7千年前に噴火した場所で、2つある水たまりの西側が最初の噴火の火口跡で、東側がその後溶岩ドームを吹き飛ばした時の火口跡になります。山頂から見下ろすと「人の顔」のようにも見え、芸術家の岡本太郎氏が「太陽の塔」を制作する時のモチーフにしたという話しも聞かれます。
また、平成26年5月、宇宙ステーションから帰還された若田光一さんが、九州上空を飛行された時に「阿蘇の草千里のそよ風がとても恋しく感じられます。」とのコメントも残されています。
余談ですが、私も幼い頃、学校の遠足やピクニックに行き、草原を駆け回ったりボール遊びをして転んで泣いた思い出があります( ̄∇ ̄)。
草千里の情景はいろいろな方の記憶に残っているんですね。
顔に見える?(撮影2013年8月)
草千里西側の草原(撮影2013年5月)
草千里は、複数の牧野で管理されており、牧野間の理解と協力が必要となります。ひとつの牧野が野焼きをやめたら他の牧野もできなくなるのです。近年、高齢化や担い手不足により、野焼きを続けることが難しい、または止めてしまった牧野が増えてきました。そこで、人手不足を補おうと県や市町村、野焼きボランティアなどの多くの協力を得て再生事業に取り組み、今年度は草千里一帯75ヘクタール中の北側30ヘクタールで、2月中旬頃に野焼きが行われる予定です。野焼きが景観維持にもたらす効果についても調査されるそうなので、とても興味深いです。
人の手が加わることで成り立っている「二次的自然」の阿蘇の草原を私たちの手で再生して、それを後世に伝えていきましょう!♪