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アクティブ・レンジャー日記 [九州地区]

九州地区のアクティブ・レンジャーが、日々の活動や地域の魅力を発信します。

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2015年11月17日

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2015年11月17日自然に親しむ集い~アサギマダラマーキング会~開催!【屋久島地域】

屋久島国立公園 屋久島 アクティブレンジャー 水川

みなさん、こんにちは!

屋久島自然保護官事務所の水川です。

 

11月9日、自然に親しむ集い~アサギマダラマーキング会~を開催しました。

 

アサギマダラは、長距離を移動するチョウで、全国各地でマーキング調査が行われています。

なぜマーキングするのかというと、マークされた個体が再び捕獲されることで、移動の方向や移動した距離、移動にかかった時間や野外での寿命など、様々な情報が得られ、アサギマダラの生態の解明に役立つからです。

 

長年のマーキング調査の結果、アサギマダラは春に北上し秋に南下することが分かっています。移動範囲は東北地方から台湾にまで及ぶそうです。また、渡りのコースらしいものがあることも分かってきたそうですが、きちんと方向が分かって飛んでいるのか、またそもそもなぜ移動するのかなど、まだまだ分からないことが多いそうです。

 

アサギマダラ

▲アサギマダラ                              (写真:西川高司)

和名:アサギマダラ

学名:Parantica sita

分布:北海道・本州・四国・南西諸島・ヒマラヤ・東南アジア・中国・台湾・朝鮮半島

 

今回の自然に親しむ集いでは、鹿児島県立博物館の金井賢一さんと、2003年から屋久島でアサギマダラのマーキング調査を行っている鹿児島昆虫同好会の久保田義則さんを講師にお招きし、アサギマダラの生態やマーキング調査についてお話いただき、実際にアサギマダラのマーキングにチャレンジしました!

 

マーキング会当日はあいにくの雨。

雨が強く降るとチョウは飛ばないので、ほぼ屋内での活動となってしまいましたが、事前に講師の方がアサギマダラを採集してくださったので、マーキングにチャレンジすることができました。

 

アサギマダラにマーキングする様子

▲マーキングの様子。

 

マーキングしたアサギマダラ

▲マーキングしたアサギマダラ。

 

マーキング後に放されたアサギマダラ

▲マーキングが終わったら放します。

 

屋内でのマーキングの後、雨は止んでいませんでしたが、せっかくなので予定していたマーキングコースを歩いてみることにしました。

このコースは、アサギマダラの吸蜜花であるヒヨドリバナが多く、すぐ脇には隠れる場所となる林があって、アサギマダラが飛来するには好条件の場所です。

 

ヒヨドリバナ 

▲ヒヨドリバナ。

 

長年屋久島で調査されてこられた講師の久保田さんが見つけたとっておきのマーキングコースとあって、雨にも関わらず何匹ものアサギマダラが飛んでいました。

 

そこで講師の金井さんが達人芸を披露してくれました!

飛んでいるアサギマダラの近くで白いタオルをグルグル高速回転。

すると、不思議なことにアサギマダラがふら~っと高速回転中のタオルに寄ってくるではありませんか!

そこをすかさず網で捕獲。

無駄なく素早い動きであっという間にチョウを捕らえるその姿はまさに達人。

周りからは「お~!」と歓声が上がりました。

なぜこの方法でアサギマダラが寄ってくるのかは分からないそうですが、タオルは「白」が良いそうです。お試しあれ!
 

タオルを回してアサギマダラを捕獲する様子

▲白タオルをグルグル回す講師の金井さん!

 

捕獲したアサギマダラにマーキングする様子

▲捕獲したアサギマダラをマーキングする様子。

 

参加者の皆さんは、熱心にメモを取ったりたくさん質問をして活動を楽しまれていました。

みなさんもアサギマダラを見つけたらじっくり観察してみてください。

マークがついていたら、博物館に連絡してどこでマークされたものか調べてもらうといいですよ♪

思いがけない場所から飛んできたチョウかもしれません(^∪^)

アサギマダラのマーキングに挑戦したい!という方は下記をご参考ください。

 

★アサギマダラのマーキング方法★

【準備するもの】

油性フェルトペン(黒色・極細)、記録用ノート、網

【方法】

①アサギマダラを1匹捕まえる。

②羽を閉じた状態で羽の白い部分に、場所・日付・マークした人のイニシャル・個体番号を左右の羽に振り分けて記す。

例)屋久島で11月9日に水川真希が捕獲した場合、「YAKU 1109 MM 1」。

③記した内容を記録ノートにも記入する。

④放す。ノートの上や地面や葉に置いて自然に飛び立たせること。

⑤マーキングした内容を博物館に知らせる。

【注意】

○腹部や触角はつかまない。

○一匹ずつ捕まえてマークする。一度にたくさんのチョウを網に入れると羽が折れる。

○捕まえる時、花を散らさない。

○チョウを触った手で目をこすらない。マーキングが終わったら手を洗う。

 

※マークのついたチョウを見つけた場合

①書かれたマークをメモするか写真に収める。

②マークを追加する。

③放す。

④博物館に知らせる。

 

<マーキングしたとき・マークされたアサギマダラを捕獲したときの連絡先>

鹿児島県立博物館

TEL:099-223-6050/FAX:099-223-6080/E-mail:kahaku1@pref.kagoshima.lg.jp

昆虫担当 金井賢一

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2015年11月17日カンムリワシ2羽を11月に放鳥【石垣地域】

西表石垣国立公園 石垣 アクティブレンジャー 仲本

こんにちは。石垣島では8月ごろからカンムリワシのヒナは巣立ちをはじめ、自立したお腹の部分が真っ白でとても綺麗な幼鳥を目にすることができます。

  

最近は自動車によるカンムリワシの交通事故が増えています。今回、交通事故に遭った2羽のカンムリワシを動物病院で治療したのち、鳥獣飼養ボランティア施設でリハビリを行い、元気に回復したので、11月6日と10日の2日間に分けて放鳥を行いました。

  

11月6日に放鳥したカンムリワシは、若鳥で右脚に青のHと刻印した足輪が付いていたことから、去年の1月に衰弱して保護された愛称「ヘラ」であることがわかりました。放鳥場所は救護された付近の田んぼで行いました。2回も救護されてしまったので、3回目は救護されないように祈りながら、元気よく、田んぼ近くの林の中へ飛び立っていきました。

愛称「ヘラ」放鳥の様子

  

11月10日に放鳥したカンムリワシは、成鳥で愛称「レッド」と名付けられました。交通事故に遭った際、翼に出血がみられ、骨折していないか心配されましたが、レントゲン検査の結果、骨に異常はありませんでした。「レッド」は11月10日に、救護された付近の牧草地にて放鳥を行いました。放鳥時は風が強く、風にあおられながら飛び立っていったため、少し心配になりましたが、きっと今頃は元気に過ごしていると思います。

愛称「レッド」放鳥の様子

  

放鳥する個体には、放鳥したカンムリワシであることが識別できるように足輪を装着しています。愛称「レッド」には右脚に赤のRと刻印した足輪を装着しています。今後、足輪の付いたカンムリワシを見かけた際には、撮影画像を添付の上、撮影場所、日時をカンムリワシ・リサーチのメールアドレスkresearch526@yahoo.co.jpまでご連絡ください。重要な生存確認の情報として記録させていただきますので、ご協力をお願いします。

「レッド」の足輪(右脚赤R)

  

12月・1月・2月の期間は、カンムリワシの子育て期間になり、カンムリワシの行動が活発的になります。この時期は親鳥がヒナ鳥のために道路上のエサを捕ることも増えてくるため、交通事故の発生件数も多くなります。法定速度を守ったドライブ運転を行えば、急に飛び出してくる野生動物の交通事故を防ぐことができますので、ご協力をよろしくお願いします!!

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