九州地区のアクティブ・レンジャーが、日々の活動や地域の魅力を発信します。
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みなさん、こんにちは!
屋久島自然保護官事務所の水川です。
毎年全4回実施している屋久島町立八幡小学校の出前授業ですが、先日最後の授業が終了しました。
今年度の第1回から3回までの授業の様子はコチラ↓↓
http://kyushu.env.go.jp/blog/2015/07/30/
これまでの授業で国立公園や世界遺産、屋久島がかかえる問題について学習してきたので、最終回の今回は、屋久島国立公園に指定され、世界自然遺産にも登録されている西部地域に出かけて、屋久島の自然を体感してもらうとともに、自然に関する問題について、実際に見て感じてもらい、授業の総まとめをしてきました!
西部地域は、国立公園の中でも人為的な行為が特に規制されている特別保護地区に指定され、厳格に自然が保護されています。
また、すばらしい自然や野生動物との健全な関係を壊さないよう、訪れる人に守ってもらいたい西部地域ルールも策定されていて、法律だけではなく、一人ひとりのマナーで自然が守られています。
出発前に、こうした西部地域の自然を守る仕組みや取組みを紹介しました。
小学校で西部地域についての解説を聞く様子。
西部地域では、1回目の授業で学習した「植生の垂直分布」を観察しました。
屋久島が世界自然遺産に登録された理由の一つは、暖かい地域の植物から寒い地域の植物まで標高に応じて連続して分布(植生の垂直分布)していることです。
西部地域は、この植生の垂直分布を眺めることができるとても貴重な場所です。
続いて、炭焼き窯跡を見学しました。
西部地域には、明治の終わりか大正初期頃から昭和40年頃まで人が暮らしていました。
人々は畑でイモを作り、炭を作って暮らしていたそうです。
左:植生の垂直分布を観察する様子。
右:炭焼き窯跡を見学する様子。
次に向かったのは、西部地域内に建てられた植生保護柵です。
西部地域では、増えすぎたシカによって地面に生えた植物が食べられてしまい、新たな木々が育たず、森の更新ができないという問題があります。
また、植物がなくなって裸地化した土壌は、流出しやすく災害を引き起こす可能性もあります。
林内にシカが食べない植物ばかりが残ると、生態系にも大きな影響を及ぼします。
環境省では、シカ対策の一環として屋久島の様々な地域に植生保護柵を設置し、シカの食害から植物を守り、柵内の植生を回復させる取り組みを行っています。
植生保護柵の中と外の違いを観察する児童。
児童がいるのは柵の中。柵をはさんで地面の様子はどう違うでしょうか?
また、外来種についても学習しました。
下の写真のアブラギリという植物は、中国原産で、種子から油を採るために国内に持ち込まれました。
日当たりの良い場所で芽を出すと、みるみる成長し(1年で1m以上も伸びる樹木)、他の植物の生育場所を奪ってしまいます。
やっかいなことに、シカはアブラギリが嫌いで食べません。
そのため西部地域の下層植生は、シカに食べられることのないアブラギリがとても目立ちます。
左:アブラギリ。
右:児童の頭上に広がる緑の葉も全てアブラギリです。
さらに、毎年恒例となったサル・シカ糞の採集と内容物の観察も行い、糞の違いや食べ物の違い、種子を散布する役割などを学びました。
左:沢で糞を洗う様子。
右:洗った糞を観察する様子。
今回も盛りだくさんな内容でしたが、児童のみなさんは、しっかり話を聞き、メモを取り、観察して、真剣に学んでくれました。
今後は児童のみなさんがリーダーとなって屋久島について考え、発信していくことを約束し、授業を終えました。
全4回の授業で学習したことは、壁新聞にして県のコンクールに出展するそうです!
それもまた楽しみですね♪
子どもパークレンジャー認定証を授与!
これで今日から屋久島を守るレンジャーだね(^▽^)
毎年こうして屋久島について授業する機会をくださる八幡小学校の先生方には感謝の気持ちでいっぱいです。屋久島の子供たちが屋久島の自然について学び考えるきっかけ作りをお手伝いできるのはとても嬉しいことです。本当にどうもありがとうございました。
今後の児童のみなさんの成長が楽しみです!
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アクティブ・レンジャーとは、自然保護官の補佐役として、国立公園等のパトロール、調査、利用者指導、自然解説などの業務を担う環境省の職員です。管内には、瀬戸内海、西海、雲仙天草、阿蘇くじゅう、霧島錦江湾、屋久島、慶良間諸島、西表石垣国立公園、やんばる国立公園、奄美群島国立公園があります。
みなさん、こんにちは!
屋久島自然保護官事務所の水川です。
毎年全4回実施している屋久島町立八幡小学校の出前授業ですが、先日最後の授業が終了しました。
今年度の第1回から3回までの授業の様子はコチラ↓↓
http://kyushu.env.go.jp/blog/2015/07/30/
これまでの授業で国立公園や世界遺産、屋久島がかかえる問題について学習してきたので、最終回の今回は、屋久島国立公園に指定され、世界自然遺産にも登録されている西部地域に出かけて、屋久島の自然を体感してもらうとともに、自然に関する問題について、実際に見て感じてもらい、授業の総まとめをしてきました!
西部地域は、国立公園の中でも人為的な行為が特に規制されている特別保護地区に指定され、厳格に自然が保護されています。
また、すばらしい自然や野生動物との健全な関係を壊さないよう、訪れる人に守ってもらいたい西部地域ルールも策定されていて、法律だけではなく、一人ひとりのマナーで自然が守られています。
出発前に、こうした西部地域の自然を守る仕組みや取組みを紹介しました。
小学校で西部地域についての解説を聞く様子。
西部地域では、1回目の授業で学習した「植生の垂直分布」を観察しました。
屋久島が世界自然遺産に登録された理由の一つは、暖かい地域の植物から寒い地域の植物まで標高に応じて連続して分布(植生の垂直分布)していることです。
西部地域は、この植生の垂直分布を眺めることができるとても貴重な場所です。
続いて、炭焼き窯跡を見学しました。
西部地域には、明治の終わりか大正初期頃から昭和40年頃まで人が暮らしていました。
人々は畑でイモを作り、炭を作って暮らしていたそうです。
左:植生の垂直分布を観察する様子。
右:炭焼き窯跡を見学する様子。
次に向かったのは、西部地域内に建てられた植生保護柵です。
西部地域では、増えすぎたシカによって地面に生えた植物が食べられてしまい、新たな木々が育たず、森の更新ができないという問題があります。
また、植物がなくなって裸地化した土壌は、流出しやすく災害を引き起こす可能性もあります。
林内にシカが食べない植物ばかりが残ると、生態系にも大きな影響を及ぼします。
環境省では、シカ対策の一環として屋久島の様々な地域に植生保護柵を設置し、シカの食害から植物を守り、柵内の植生を回復させる取り組みを行っています。
植生保護柵の中と外の違いを観察する児童。
児童がいるのは柵の中。柵をはさんで地面の様子はどう違うでしょうか?
また、外来種についても学習しました。
下の写真のアブラギリという植物は、中国原産で、種子から油を採るために国内に持ち込まれました。
日当たりの良い場所で芽を出すと、みるみる成長し(1年で1m以上も伸びる樹木)、他の植物の生育場所を奪ってしまいます。
やっかいなことに、シカはアブラギリが嫌いで食べません。
そのため西部地域の下層植生は、シカに食べられることのないアブラギリがとても目立ちます。
左:アブラギリ。
右:児童の頭上に広がる緑の葉も全てアブラギリです。
さらに、毎年恒例となったサル・シカ糞の採集と内容物の観察も行い、糞の違いや食べ物の違い、種子を散布する役割などを学びました。
左:沢で糞を洗う様子。
右:洗った糞を観察する様子。
今回も盛りだくさんな内容でしたが、児童のみなさんは、しっかり話を聞き、メモを取り、観察して、真剣に学んでくれました。
今後は児童のみなさんがリーダーとなって屋久島について考え、発信していくことを約束し、授業を終えました。
全4回の授業で学習したことは、壁新聞にして県のコンクールに出展するそうです!
それもまた楽しみですね♪
子どもパークレンジャー認定証を授与!
これで今日から屋久島を守るレンジャーだね(^▽^)
毎年こうして屋久島について授業する機会をくださる八幡小学校の先生方には感謝の気持ちでいっぱいです。屋久島の子供たちが屋久島の自然について学び考えるきっかけ作りをお手伝いできるのはとても嬉しいことです。本当にどうもありがとうございました。
今後の児童のみなさんの成長が楽しみです!