アクティブ・レンジャー日記
「ウミガメ研究の最前線」実施報告【徳之島地域】
2015年06月10日みなさん、こんにちは!
徳之島自然保護官事務所アクティブレンジャーの吉野です。
今回は「ウミガメ研究の最前線」と題して実施しましたウミガメの勉強会&観察会の報告をいたします。
奄美・琉球世界自然遺産の候補地となっている徳之島では、アマミノクロウサギなどの山の生き物にスポットライトが当たりがちですが、実は海の生き物もとても魅力的なのです!
そんな徳之島の海の生き物の代表は、なんといってもウミガメです!!
昨年は徳之島全域で約50回の上陸(徳之島ウミガメネットワーク調べ)が確認されました。
そんなウミガメをより身近に感じてもらおうと、今回は沖縄の最前線で研究に携わっている水産総合研究センター西海区水産研究所の奥山先生を講師にお招きし、ウミガメの生態や近年の研究結果などを講演していただきました。
はじめに徳之島ウミガメネットワークの池村さんより、徳之島でのウミガメの調査や保護の取り組みについてお話いただきました。
徳之島では5月上旬からウミガメの産卵上陸がはじまっていますが「上陸数が少なかった昨年に続き、今年も今のところ上陸数が伸び悩んでいる」との報告がありました。正確な上陸数把握のためにも地域の方々に上陸調査の協力や保護を呼びかけていました。
つづいて奥山先生からウミガメの生態や研究結果についてのお話がありました。
奥山先生は生物に小型のカメラやセンサーを取り付けて行動や生態を調査するバイオロギングという手法を用いてウミガメの研究をされています。
ウミガメの甲羅に取り付けられた小型カメラの映像は、まるで自分がウミガメになったかのような視点でとても興味深く、会場の注目を浴びていました。
奥山先生は「ウミガメにとって徳之島は、付近を黒潮という大海流が流れていて仔ガメの生存に適している。結果、多くの徳之島産のウミガメが生き残り産卵のために帰ってくる。産卵可能な海浜を維持していくことはとても重要」とおっしゃっていました。
講演後は島内でも屈指の上陸スポットである、会場近くの面縄海岸へ移動し、ウミガメ観察会を行いました。
残念ながら上陸を見ることはできませんでしたが、数日前に上陸していたアカウミガメの足跡を観察することができました。
ウミガメの観察を行う際には、光に敏感なカメに刺激を与えないよう赤いライトを用いることなど、ウミガメ観察の際の注意点やマナーなどもみんなで勉強しました。
命がけで海を渡り、生まれ故郷徳之島に帰ってくるウミガメたち。
そんなウミガメたちがいつでも帰ってこられるよう、美しい海と砂浜を守っていくことがわたしたち島に住む人々にとってとても大事なことであると改めて実感した勉強会でした。
私自身も今夏は、ウミガメ調査やビーチクリーンなど海浜での活動をもっと充実させていこうと思います!