アクティブ・レンジャー日記
舟志の森の自然観察会を開催しました
2015年06月03日対馬自然保護官事務所の蔭浦です。
まだ6月ですが、天気のいい日は夏のように暑くなりますね。
先日5月24日に行われました、「舟志の森の自然観察会」のご報告です!
この観察会は舟志の森づくり推進委員会主催で行われ、地元と企業が協力して行った間伐・植樹などの森づくり活動や、湿地の環境改良などの取り組みを紹介しながら、現在その周りにはどのような生物が生息しているのかを、参加者自らの目で観察してもらいました。
※舟志の森づくり推進委員会は、舟志区、対馬市、住友大阪セメント株式会社、ツシマヤマネコ応援団の4団体からなり、対馬の野生動物の保全を図り、人と自然が共生するモデル森を育てることを目的として活動しています。
午前は植樹地の周辺散策をしました。
当日は天気にもめぐまれ、木陰を歩くのがとても気持ちよかったです。
そしてなんと!運のいいことに、森のすぐ脇で新しいヤマネコの糞を発見しました!!
まさに、「ヤマネコの住む森」であることが分かる一場面でした。
住友大阪セメント所有の土地の中には、シカの影響を防ぐための柵やネットを設置している場所があり、その中だけ植物が豊富に生えている様子に参加者の方々も驚いている様子でした。
対馬ではシカやイノシシの影響で植物の減少が深刻です。
植物が減少すると、例えばそこに棲む昆虫類が減少するなど、対馬の生物多様性の低下が心配されます。
何でもなさそうな「雑草」に支えられて生きている多くの生物、それらの生物みんなで支えている生態系があることを、今回の観察会で実感していただけたと思います。
午後は湿地へ行き、参加者の皆さんに「生き物探し」をしてもらいました!
参加者の中には昆虫や水辺の生物に詳しい方もおられ、スタッフ一同も知らなかった生物をたくさん見つけることができました。
みなさん大人ですが、童心に帰って生きもの観察をする姿はとても楽しそうでした。
こちらの湿地でも、周囲に設置した自動撮影カメラに水鳥を捕ったヤマネコの様子が撮影されていることを紹介し、小さな生物たちが鳥類やヤマネコの生息できる環境をつくっていることを感じてもらいました。
参加者のみなさんの協力により、とても充実した観察会となりました!!
自然観観察の楽しみや身近な自然の大切さを伝えられるイベントが、今後もできたらいいなと思います。