アクティブ・レンジャー日記
自然に親しむ集い「オオキンケイギクの除去」を実施しました!【屋久島地域】
2015年05月19日みなさん、こんにちは!
屋久島自然保護官事務所の水川です。
5月10日に自然に親しむ集い「特定外来生物を知ろう!~オオキンケイギクの除去~」を実施しました。
みなさんはオオキンケイギクをご存知ですか?
5月~7月頃にかけて日本各地の道端や河原に鮮やかな黄色のコスモスに似た花を咲かせるキク科の多年草です。北米原産で、寒さや暑さに強く、かつて法面緑化用、観賞用として国内に導入されました。
鹿児島県では「特攻花」とも呼ばれ、昔から県民に親しまれていたようです。
屋久島の道路脇に咲くオオキンケイギク。
しかし、あまりの強靱さのために、いったん定着すると、もともといた野草の生育場所を奪い、周りの景観を一変させてしまう性質をもっています。
そして、これ以上人の手で拡げないよう、平成18年に外来生物法に基づく【特定外来生物】に指定されました。
【特定外来生物】とは...
外来生物法により、生態系などに被害を及ぼすものとして指定された生物。
植物13種、動物 100種が指定されています(2015年3月現在)。
飼育・栽培・保管・運搬・販売・譲渡・輸入・野外に放つことなどが原則禁止されており、違反すると罰則があります。
そこで今回は、オオキンケイギクを通して外来生物について知ってもらおうと、島民の方々とオオキンケイギクの除去活動を実施しました!
屋久島国立公園パークボランティアのみなさんの協力参加もあり、総勢40名ほどで、屋久島でも特にオオキンケイギクの生育が目立つ小瀬田集落周辺を除去しました。
オオキンケイギクを抜く参加者。
集落内や県道沿いなど、2時間除去作業を行いました。
写真を見て分かるとおり、いったん定着すると辺り一面を占有してしまうほどの繁殖力です。
外来生物が引き起こす問題は、「生態系への影響」だけではありません。
毒を持っている外来生物にかまれる、刺されるといった「人の生命・身体への影響」。
畑を荒らしたり、漁業の対象となる生き物を食べたり危害を加えるといった「農林水産業への影響」。
このように、外来生物の問題は、私たちの日常生活に密着した問題です。
しかし、このような問題が起きるのは、外来生物が悪いからではありません。
彼らは本来の生息地があって、そこではごく普通に生活していた生き物たちです。
日本に来たくて来たわけではないのに、人間の都合で持ち込まれたために問題を引き起こし、場合によっては駆除されなければなりません。
このような外来生物問題をこれ以上引き起こさないためには、一人一人の理解と協力が必要です。下記の三原則を心にとめておきましょう!!
【外来生物被害予防三原則】
①入れない(悪影響を及ぼすかもしれない外来生物をむやみに日本に入れない)
②捨てない(飼っている外来生物を野外に捨てない)
③拡げない(野外にすでにいる外来生物は他地域に拡げない)
今回の活動で、軽トラの荷台2台分、総重量400㎏のオオキンケイギクを除去しました!!
しかし、これはほんの一部で、屋久島にはまだまだたくさん生育しています。
そして、綺麗でかわいらしい花であること、自分たちの暮らしにまだ直接的な影響が出ていないことから、「なんで引っこ抜いちゃうの?」と言う島民の方も多いです。
外来生物について知ってもらい、地域の将来のために必要な活動なんだと住民の方に理解・納得してもらえるように、今後もこうした活動を続けることが大事だなと感じる一日でした。