アクティブ・レンジャー日記
出前授業を実施しました!【屋久島地域】
2014年12月26日みなさん、こんにちは!
屋久島自然保護官事務所の水川です。
屋久島自然保護官事務所では、平成20年から屋久島町立八幡小学校の4年生を対象に、屋久島の自然環境の素晴らしさや大切さを知ってもらうと共に、自然を守る取り組みについて理解を深めてもらうことを目的として、年に4回、出前授業を行っています。
今回は、今年度実施した全4回の出前授業について報告します!
第1回目は、6月20日に教室で世界遺産や国立公園、環境省のパークレンジャーの仕事や屋久島で起きている問題について学習しました。実は昨年度3・4年生が複式学級だったため、今年度の4年生は今回学習する内容を昨年度の授業で一度勉強しています。そこで、今回は○×クイズ形式にして昨年度の授業内容を復習してもらうことにしました。
「一番多く正解した人にはプレゼントがあります!!」と伝えると、みんな必死になって昨年度の授業を思い出していました。ゲーム感覚で体を動かし楽しみながら復習できたようです。(結局、みんな頑張ったのでみんなにプレゼントの賞状をあげました♪)
第2回目は、6月27日に教室でウミガメについて学習しました。事務所からウミガメの骨の標本と実物大のウミガメイラストを持参し、子ども達の心をわしづかみ(?)にしたところで、ウミガメの生態、観光客が増加したことで起きている問題や地元の人を中心としたウミガメ保護の取り組みについて紹介しました。
北太平洋で最もアカウミガメが上陸する屋久島で暮らす子ども達にとって、ウミガメは身近な存在だと思っていましたが、意外と見たり学んだりする機会は少ないようで、みんな最後まで興味津々に話を聞いてくれました。
①○×クイズの答えを熱心に聞く子ども達。昨年度の授業を必死に思い出しています。
②ウミガメの授業風景。
第3回目は、7月に野外授業として塚崎海岸でウミガメの上陸・産卵跡の観察を予定していましたが、台風のため延期に...。結局、夏休みをはさんでしまい、ウミガメシーズンが過ぎてしまったので、内容を変更して10月に貝の調査を行いました。
屋久島の南西部に位置する塚崎海岸は、海の透明度が非常に高く、魚やサンゴの種類が豊富なことから、屋久島国立公園の海域公園地区に指定されています。貝類もたくさん生息していて、貝の調査を通して屋久島の豊かな海について知ってもらいました。
貝が専門分野の菊地アクティブレンジャーに貝の魅力を解説してもらい、貝殻を採集しました。
その後教室に戻り、菊地アクティブが作成した「【特製】貝の種判別シート」を使って採集した貝の種名を調べ、標本を作りました。殻が欠けていたり模様が剥げていたりして、種の判別は少々苦戦していましたが、自分の拾った貝の名前や特徴をしっかりまとめることができました。
①少々苦戦しながら種判別シートで採集した貝の種を判別中。
②お気に入りの貝を標本にしました。
また、今回貝の採集と併せてパークレンジャー体験として海岸清掃と標識の清掃を実施しました。
①海岸清掃の様子。台風後ということもあって、浜には沢山のゴミが漂着していました。
②児童はたったの7名でしたが、10分の短い時間でこんなに沢山のゴミを回収しました!
③環境省の国立公園の標識は、みんながたわしで一生懸命磨いてくれたおかげでピカピカになりました。
今年度最後の第4回目は、11月に西部地域で動植物の観察と、シカの食害を防ぐために設置された植生保護柵の見学を行いました。西部地域では現在シカが増えすぎていて林床植生がほとんどありません。今回見学した植生保護柵は、設置してまだ4ヶ月でしたが、柵の中ではたくさんの萌芽やつる性植物の生育が見られ、シカの食害による影響を柵の中と外ではっきりと見比べることができました。
また、この日は沢山のサルとシカに出会うことができ、じっくり観察できました。
さらに、落ちていたサル糞とシカ糞を採取し、沢で洗い、糞の中身を比べてみました。サル糞からは植物の種子が、シカ糞からは細かくすりつぶされた葉が出てきました。
①植生保護柵の説明を聞きながらしっかりメモする子ども達。
②洗ったサル糞とシカ糞をルーペで観察。
教室に戻ってからは、西部地域で学んだことを模造紙にまとめて発表しました。
そして、2年間授業を受けてくれたみんなにお手製の子どもパークレンジャー認定証を授与しました!
①まとめの発表会の様子。
②子どもパークレンジャー認定証の授与式。みんなよく頑張りました!
出前授業を通して、屋久島の自然の魅力だけでなく、屋久島がかかえている問題についても知ってもらえたと思います。授業前よりももっと屋久島や自然のことが好きになってくれたら嬉しいなと思いました。
また来年度も、新しい4年生に会えるのを楽しみにしています!!