九州地域のアイコン

九州地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記

年末年始【対馬地域】

2014年01月18日
対馬
対馬自然保護官事務所ARの竹澤です。

もう新年が明けて早一ヶ月が経過してしまいましたが…。
新年明けましておめでとうございます。
本年も昨年同様、どうぞよろしくお願いいたします。

さて、この年末年始、対馬野生生物センターでは12月29日から1月3日まで休館をさせて頂きました。
しかし、ツシマヤマネコの保護にお休みはありません。
年末年始の12月30日には死亡個体の収容、1月2日には衰弱した個体の保護がありました。

12月30日に上対馬町五根緒で発見された死亡個体は、発見された住民の方からご連絡を頂き、
センター職員が急いで現場に駆けつけたときには、まだ暖かく、死亡してすぐであることが分かりました。
死体の状況と道路上で発見されたことから交通事故の可能性が高いと思われます。



夕方から夜にかけてヤマネコの活動が活発になるまさにその時間帯。
体格の立派な大人の雄でした。
沢から上がって、道路の反対側にある森にでも行こうとしていたのでしょうか。
周囲を縄張りにしていた個体だったのでしょうか。

ヤマネコの交通事故は今年度これで4件目。
事故現場を目の当たりにするたび、
つい先ほどまで生きていたこと、一瞬にして命を奪われてしまったこと、
いろいろなことを思い、胸が苦しくなります。


年が明けた1月2日は、上島南部の、美津島町芦浦の地元の方から、
衰弱したヤマネコがいるとのご連絡を頂きました。
美津島町では11月20日に交通事故と思われる死亡個体の収容があり、
美津島町での保護、収容は本年度2件目です。

現場に駆けつけてみると、じっとうずくまり、
こちらを見つめる亜成獣のヤマネコがいました。



すぐにセンターに搬送して、獣医師による診察、治療が行われました。
一時は弱っていたその個体も治療のおかげで、日に日に回復しています。
一日も早い全快を願うばかりです。

最新の生息状況調査では上島南部にヤマネコの生息分布が拡大したことが分かっており、
上島全域にヤマネコが生息しています。
これまで生息情報が少なかった美津島町でも今後は保護、収容が増えるかも知れません。

救えなかった交通事故個体と、命の繋がった保護個体、どちらのヤマネコも大切な命です。
ひとつでも救われると、やはり純粋にうれしいです。

慌ただしく始まった新年ですが、新たな一年、ひとつでも多くのヤマネコがこの対馬で暮らせるように、
地元の方々に支えられながら、今年もセンター職員総出で頑張ります!