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九州地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記

阿蘇の草原を維持するために!【阿蘇地域】

2013年11月05日
阿蘇
目の前に広がる風景が、“すべて草原”という風景を見たことがありますか?
例えば下の写真のような・・広々としてとても開放的な風景です。


日本の気候の場合、高山など自然条件の厳しいところを除き、大半は森林になりますが、阿蘇では野焼きや放牧など人々の営みによって草原の状態が維持されており、その結果、貴重な草原性の植物・昆虫が見られ、また人々を魅了する景観でもあります!

これらの動植物、景観さらには草原の文化を後世に残していくためには、阿蘇の人々が脈々と継続してきた採草(草刈り)、牛馬の放牧、輪地(わち)切り、野焼きなどの作業をこれからも続けていく必要がありますが、農畜産形態の変化や後継者不足などにより地元の方々だけで、これまで通りこれらの作業を継続していくことが難しく、特に輪地切り・野焼きは重労働で危険な作業のため、人手が多く必要です。ここで活躍しているのが「野焼き支援ボランティア」で、年間で延べ約2000人のボランティアが作業に協力しています。

この時期(9~11月頃)の草原では春の野焼きの準備として「輪地切り」が実施されています。これは、野焼きを行う草原の近くの山林や建物に火が移らないようにするための防火帯づくりを、牧野組合長を筆頭に地元牧野の方とボランティアが協力し帯状に草を刈り込む作業で、安全に野焼きを行う上で最も重要な作業です。

写真は平地での様子ですが、場所によっては急傾斜地や草丈が身長以上のところも多々あり、刈り払い機を使用するため、安全面には特に注意を払って作業していました。

最近の阿蘇地域は、世界農業遺産登録、草原特区への指定、世界ジオパークへの推薦など気運や関心が高まっており、このどれもが「草原」と深く関わっているので、これを機に草原の維持・再生に対する取組みもより活発化するといいなと思います。