九州地域のアイコン

九州地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記

阿蘇草原環境学習:指導者講習会の報告 【阿蘇地域】 藤田・田上

2013年09月10日
阿蘇
平成21年度から5カ年計画で取り組んでいる「阿蘇草原キッズ・プロジェクト」の一環として、学校の先生や草原学習に興味のある方々を対象に、阿蘇青少年交流の家が主催となり、阿蘇の北側【阿蘇谷編】と南側【南郷谷編】にて別日程で実施しました。

【阿蘇谷編】は、阿蘇青少年交流の家にて開催し、17名の参加がありました。阿蘇草原再生協議会の会長から、阿蘇の気候や土壌・水、草原保全の取り組みなどをわかりやすく、楽しく、お話してくださいました。そのあとは牧野に移動し草原探索。いがいが・あまい香り・ひかるものなど、見たまま感じたままをワークシートに記入してもらいました。つい名前や特徴など解説から入りがちな大人の方々には新鮮だったようです。

午後からは、あか牛へのエサやり体験!ふすまや味噌をまぜたものを丸めて、最初はこわごわ手を伸ばしていたのが、いつの間にか活き活きとした表情に変わって、どんどん牛の口に運んでいました。質問もストップをかけないと止まらないくらいの盛り上がり。自然に触れて、生きものに触れて、現場の生の声を聞くことで、子どもも大人も変わる。体感することの大切さを改めて感じました。

実践発表は、小学3年~6年まで草原学習に取り組まれている阿蘇市内の小学校の先生から子どもたちの変化や学校に根付かせた経緯と課題など、熱い思いが伝わってくるお話でした。

「まずは地元からでしょ!」と、阿蘇郡市内の学校で草原学習プログラムの授業へのカリキュラム化を推進していますが、参加者の方からは「なんで阿蘇だけなの?熊本市内や他県にも広めるべき」との声が多く上がり実施者としてはうれしい限り。「次の南郷谷編も参加したい!」と、なんと半数近くが申し込まれました。







田上AR、【南郷谷編】はどうですか~~?

【南郷谷編】は南阿蘇村にて開催し、阿蘇の自然に関わるボランティアの方や学校の先生など23名の参加でした。講義では、「阿蘇の地形と地質」、「草原の生物多様性」、「阿蘇草原キッズ・プロジェクト」について、それぞれ講師に熱く語って頂きました。分野は異なっていますが、“草原”を後世に伝えへていくためにはどれも重要なトピックです!

もちろん講義だけではなく、フィールドワークも実施しました。南阿蘇村内の牧野に移動し、まず組合長さんからあか牛の生態、草原と動植物の関係、牧野の管理作業、牧野を維持する苦労・重要さなどについてお話しを頂きました。草原に一番近いところで働かれている方の生の声にはとても力があり、参加者からもたくさんの質問が飛び交い・・・少々時間をオーバーしてしまいました。
その後、草原に出向き、初秋の草原の植物や、オオルリシジミとクララのように昆虫と草原性植物の関係(食草)について、実際に植物を観察しながらレクチャーを受けました。普段、植物をしっかりと観察する機会はなかなかないので、参加者から「へ~!」、「おお!」など驚きの声が上がっていました。

組合長のお話しと草原散策





阿蘇谷編、南郷谷編ともに研修の最後に、1日のふりかえりを行いました。開会の時に参加者の皆さんへは講習会のテーマとして『草原学習にどう取り組んでいきたいか?』ということを念頭に、有効な取り組みや課題・改善点を考えつつの受講をお願いしていたので、最後に皆さんの意見を出し合いました。
有効なことはやはり草原での観察・牛とのふれあいなどの実体験や現場の生の声を聞くことであり、大人の皆さんもとても印象に残ったようです。また、子供たちへの伝え方、牧野の協力体制、草原学習の窓口等々・・課題も挙げられたので、より草原学習に取り組みやすくなるよう改善していこうと思います。

来年も開催予定ですので、学校の先生や草原学習に興味のある方、ぜひご参加下さい!