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九州地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記

子どもパークレンジャー in 久住高原・沢水②【くじゅう地域】

2013年08月28日
くじゅう
今年の子どもパークレンジャー。
午前の草原の生きもの探しの後は、森の中を流れる小川の生きもの調べです。
くじゅう連山は、大分県の大河川である「大野川」の源流部に当たり、沢水(そうみ)地域もその一つです。
森の中の小川は源流部の湧水が集まってできていて、水温が低く、とてもひんやり。水の中に足を浸けると、鳥肌が立つほどの冷たさです。
そんな環境に生きものがいるのでしょうか?



まずはフィールドへ行く前に、水生生物の専門家・斉藤先生のお話。
水生生物が好む生息環境についての話に続き、冷たくてきれいな水にいるという1cm程度の扁形動物「プラナリア」の驚きの生態に興味津々の子どもたち。
作為的に数か所切り込みを入れると、その数だけ分裂してなんと増殖するそうです。おそろしや~

お話の後、水辺の生きもの探しのコツを聞いて、いざ現場へ。



冷たい水をもろともせず、上流の方へ歩く子どもたち。
網でゴソゴソしたり、石をめくったりして注意深く観察すると、様々な小さな生きものたちを発見しました。

採集後は、斉藤先生と一緒にみんなで確認作業。
当日は、ヨコエビやサワガニ、アメンボ、カワゲラ、トビケラ、ヘビトンボの幼虫、そしてプラナリアの計7種類を確認しました。

水辺の生きものは、水がキレイか汚れているかの環境によって種類が変わることや、巣を持つトビケラの生態、虫を食べる長野県信州地方の食文化についてなど、水生生物にまつわる話を聞いて学んだ子どもたち。
自分の地域の水辺にどんなものがいて、水質がどうなのか考えるよい機会になったのではないかと思います。


さて、沢水地域は、生態系の変化を長期的な調査で捉える環境省の「モニタリングサイト1000」のコアサイトに指定されており、毎月、植物や鳥類、哺乳類などの動植物や水の調査が行われています。



水辺の生きもの調べの後、毎月調査に携わっている調査員の小田さんから、沢水の自然が豊かであり、生きものがたくさんいることを教えてもらいました。そして、地球の気温が高くなっていることが、自然や生きものにどのような影響を与えているか調べるために調査を行っていることについて説明を受けました。

今回の子どもパークレンジャーでは、草原と源流部の水辺の生きものに焦点を当てて調べましたが、その活動の意味について子どもたちへのメッセージとなればいいなと思いました。

この中から、将来、故郷の自然を守る人材が育つことを期待しています!


※調査後、捕まえた生きものは放しました。
国立公園では、動植物の採集は禁じられています。
今回は、自然体験学習として実施したものです。