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九州地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記

初冬の森での出会い 【くじゅう地域】

2012年11月27日
くじゅう
11月14日(水)、地元の飯田中学校の1年生と、指山(ゆびやま)自然観察路へ自然観察トレッキングへ行ってきました。
三俣山から硫黄山、星生山にかけてまっ白に染まったこの日。
11月1日(木)の初霧氷に続く、初冠雪を観測しました。



そんな、最後の紅葉がまだ残るなかでの散策は、秋と冬の風景を楽しめる貴重な時間となりました。



登山道では雪がわずかに残り、岩に張りついたコケはまるで雪の結晶の形のように凍りついていました。
一方、雨でできた水たまりには、黄色や赤や緑の葉が入り交じり、水面は鏡のように周囲の木々を映し出していました。
なんだか物語の中に入ってしまったような、幻想的な光景でした。



生徒さんが覗き込んでいるのは、岩と岩の間からふわぁーっと冷気が吹き出ている「風穴(ふうけつ)」というもの。
くじゅうでは黒岳のものが有名で、年中低温が保たれている、いわば天然の冷蔵庫なのです。
夏でも氷が残っていることがあるくらい涼しく、明治~大正時代にかけては蚕(かいこ)の保存用に利用していたそうです。
雪が舞い、寒風が身に染みるなかで、生徒さんは「冷たい~!」と叫びながらも思わぬ発見に驚いていました。

ひと雨ごとに寒くなっているくじゅうですが、今日も事務所から見える三俣山には霧氷がついています。
刻一刻と厳しい冬へ近づいていますが、美しい冬の世界を楽しめるのもほんの3カ月ほど。
みなさんも足場固め(雪用タイヤやチェーンの準備)と防寒対応など、冬山装備を万全にしてお越しください。