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九州地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記

マングローブの生き物たち【奄美地域】

2012年07月04日
奄美
奄美野生生物保護センターでは、毎年夏休みの時期に合わせて様々な観察会やイベントを行っています。
今年の観察会第一弾は、マングローブが舞台です。




マングローブとは、満潮時には海水に浸る、川の河口域に広がるデルタ地帯の森のことを指します。海水と淡水によって多くの有機物が運ばれるマングローブには、多種多様な生き物たちが生活しています。

先日、イベントの下見を兼ねてマングローブの生き物を観察してきましたので、出会った生き物たちをご紹介したいと思います。



【オキナワハクセンシオマネキ】
最も普通に観察できるシオマネキ類です。
砂底や泥底の表層に分布する有機物や微小藻類、バクテリアなどをエサとしています。
片方のハサミが大きいのはオスのみで、このハサミを上下に何度も振り続けます。この動作をウェイビングといい、けんかの際の威嚇やメスへの求愛であると言われています。
個体によって大きなハサミの左右が異なります。人間と同じように右利きや左利きがあるのかと思うと、なんだか楽しいですね。



【ミナミトビハゼ】
一見、両生類のように見えますが、奄美大島以南に分布するトビハゼの仲間です。
満潮時には、写真のようにヒルギの主柱根などに這い上がって休んでいます。
ゆっくりと移動するときは、左右の胸びれを同時に動かして進みます。驚いたときは、尾部を曲げて連続ジャンプし、素早く逃げていきます。
皮膚呼吸を行う不思議な魚です。

その他にも、前に向かって歩くミナミコメツキガニの赤ちゃんなども観察することができました。
今回初めてマングローブに足を踏み入れましたが、改めて奄美の自然の多様性に感動した一日でした。

観察会当日もたくさんの生き物たちを観察したいと思います。そして参加者の皆様とマングローブのすばらしさを共感できるように、がんばって準備していきたいと思います。