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九州地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記

九州いきものリレー ~漫湖の生物多様性(1)ドロアワモチ~

2010年07月05日
沖縄南部
みなさん、はじめまして。
沖縄南部自然保護官事務所の知念です。
この6月に採用になり ちょうどひと月が経ちました。
私自身 沖縄の自然を楽しみながら、
いろいろな情報をお届けしたいと思います。
よろしくお願いいたします。

では、早速・・・ 
この写真の中に ある生き物がいます。


泥と同じような色をしているため、慣れないと見つけにくいです。
でも、泥を紐状につなげた独特の糞を辿っていくと・・・
見つけることが出来るかも。





【和名】ドロアワモチ(体長30-60mmほどの長楕円形)
【分類】腹足綱 原始有肺目 イソアワモチ科
【場所】ラムサール条約湿地 漫湖【撮影日】6月30日
 
殻を持たない貝類の一種。泥まみれで顆粒に覆われた饅頭形の姿が
粟餅に似ていることから、その名が付いたそうです。

名前も姿もとてもユニークなこのドロアワモチ、
未だ図鑑にもほとんど載っていない未知の生き物なのだとか!? 
原始的な有肺類として、進化系統学的にとても重要な種群だそうです。

2000年頃には日本本土では絶滅説が出たようですが、その後の調査で
南日本の各地に生息地が点在することが明らかになりました。
沖縄県では、沖縄島および先島に広く分布しますが、生息場所は局所的で、
特に中南部では1990年代に普通に見られた所でも、現在は埋め立て等で
消失した生息地が多いそうです。

環境省:絶滅危惧Ⅱ類(VU)
沖縄県:準絶滅危惧(NT)

初めて出会ったこの生き物。
わくわく♪調べていくうちに私を更に驚かせたのは、
伊是名島で9年間(小1~中3)ドロアワモチを研究した女の子がいたことです。
昨年、その研究が認められ“文部科学大臣賞”を受賞!
『自然科学観察コンクール(シゼコン)』のページで、彼女の功績をぜひ
ご覧下さい。
http://www.shizecon.net/search/prizewinners/nengo/50/2